積み荷のない船~灼熱スリランカ編~

ラビットリップ

第1話  自称・女、沢木耕太郎。

【行程表】


12月28日、小松空港出発、上海へ向かう。この日はトランジットのため上海で一泊。

12月29日、上海浦東国際空港からバンダラナイケ国際空港へ。ネゴンボで一泊。

12月30日、ネゴンボからクルネーガラ経由ダンブッラへ。文化三角地帯散策の拠点となるダンブッラでしばらく滞在する。この日はローズクオーツマウンテンを散策。      

大晦日、世界遺産シーギリヤとゴールデンテンプルを見学

元旦、紀元前から栄えた古代仏教王国アヌラタブラで初詣

1月2日、シンハラ王朝の首都があったポロンナルワで仏教世界遺産の見学

1月3日、第二の都市キャンディへ移動。佛歯寺等キャンディの街並みを見学

1月4日、ヌワナエリアへ移動。午前中はイギリス植民地時代の避暑地であるヌワナエリアでうまい紅茶を啜る。午後から移動。ハットン経由ナタラニアへ。

1月5日、早朝、四大宗教の聖地アダムスピーク登頂。下山後、ハットンまで戻り、そこから汽車で、最大の都市コロンボへ向かう。コロンボ二連泊。

1月6日、コロニアルな世界遺産都市、ゴールを散策。夕方、コロンボへ戻る。

1月7日、コロンボへ市内散策。午後はアーユルヴェーダを体験。夕方、空港へ向かう。夜、上海へ向けて飛び立つ。

1月8日、上海浦東国際空港から小松空港へ。


                   ※


「ダンブッラ!」

「ノー、ダンブッラ、クルネーガラ、バスチェンジ!」

 ネゴンボバスターミナル、朝7時。小型スーツケースを引っ張りながら、私は声を張る。バスターミナルのスタッフも負けじと声を張る。まるで市場で行われるセリのようだ。今日はここからクルネーガラを経由して、文化遺産三角地帯の拠点であるダンブッラへ向かわねばならない。

 お目当てのバスの見つけ方は、「こんなところに日本人」と言う番組でやっている千原せいじさんの方法と同じである。行き先を連呼していると、こっちだよ!と車掌が手招きしてくれる。文法通りに伝えようとすると全く通じない。南アジアは単語の交換がまだコミュニケーションの主流なのだ。

 スリランカでは3種類のバスが走っている。1番高級なバスはインターシティバスと呼ばれる、エアコン完備のマイクロバスである。2番目はブルーバスと呼ばれるもの。エアコンは付いていないが、とりあえず車内で映像や音楽などを流し、乗客の気を紛らわせてくれる。そして一番ポンコツは窓、ドア無し、配車寸前のレッドバスと呼ばれるバスである。

乗り継ぎ地点までのクルネーガラまでは、運よくインナーシティに乗ることができた。運賃は210ルピー。日本円にして約151円。この国は、スリランカルピーに0.7213をかけたらおおよその日本円が見えてくる。

 バスターミナルには小さな売店があった。朝食を食べていなかったから、その売店で調達した。パン屋のようだったが、値札も品物名もない。仕方なしにガラスケース越しに指差し注文し、菓子パンらしきものを購入した。3つで130ルピー。味は、小中学生が調理実習で作るレベルと言ったらしっくりくるだろうか。中国東方航空の機内食のクオリティとそう変わらない。3つ目のマフィンは水で流し込んだ。

 早朝だからか、乗客は師走とは思えない落ち着いた表情で、大人しく着席している。スリランカ人は大人しい国民性だとは耳にしていた。無駄話もせず、静かな車内で、カーステレオから流れてくるお経らしき音楽にじっと心を傾けている。

 昨晩あまり熟睡できなかった私は、静かすぎる車内ですぐに眠りに落ちてしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る