第4話 2人の家庭な事情
フローレンスは
なれない仕事に奮闘しながらも
毎日毎日、新しい事を学ぶ楽しさ
をヒシヒシと感じていた。
実家に居ては学べない事も沢山ある。
同世代の友達も出来た、そう
充実した日々を送っていた。
仕事を終えると
街のモールにある本屋さん
迄でかけた。
仕事が終われば僚の門限の
Pm23時までは、自由。
街をぶらぶらしてなんと
繁華街迄来てしまった。
ウキウキ歩くフローレンスの足が
パタッと止まる!
花籠と言うキャバクラから・・
化粧まみれのアリサが出て来た。
アリサは、お客に愛想良く振る舞い
振り返った時
━━━━━バチン━━━━━
アリサとフローレンスの目が合った。
「フッ、フフ、フローレンス!!」
「は、はいイィ⤴」
フローレンスはつい声をひっくり返して答えてしまった。
もう直ぐ22時を回ったところで
門限が近い。
「フ、フローレンス、待ってて
一緒に帰ろう!
帰りながら説明するから・・
直ぐ来るから!!」
アリサは慌てふためきながら
お店に入って行った。
店から出て来たアリサは
ケバい化粧も落として
いつもの顔をしたアリサ
だった。
「ごめん、フローレンス
待った?」
フローレンスは首を振る
「ん、ヤバイとこみられたなぁ」
歩きながらアリサは空を見て呟く!
「・・なんであんな仕事を
してるの?アリサ」
フローレンスは少し腹立たしく
語気強く言った。
アリサは、少しイラついたのか
「フローレンスのように
お金に困ってない子には
分からないのよ!
私、弟妹が多くて仕送りしないと
だめなのよ。
それに副業はダメなんて規則には
ないじゃない。」
すこし喧嘩ふっかけて来るような
言いぐさだった。
「でも未成年が務めて
いいお店にはみえないよ。」
フローレンスは心配しながら
アリサを説得して辞めさせようと
した。
「・・分かってるけど
時給もいいの!!
稼がないと・・」
目を伏せがちに話すアリサに
意を決して聞いた。
「もしかしてお金に困ってる?」
図星をつかれたアリサは
不機嫌な様子をかくしもせず
「フローレンスはいいわよね
お給料全部自分のお小遣いに
なるもの!あー羨ましいー」
と睨みつけながら言った。
そんな一言にびっくりした
フローレンスは、
「アリサ、私も事情は
あるのよ
言わないだけ!!」
アリサはフローレンスを馬鹿にしたような目をして言った。
「そんなふうには見えないから
同情オッーウ」
アリサは不機嫌なままソッポ
向いて歩き出した。
フローレンスは立ち止まったまま
1歩先行くアリサに声を掛けた。
「そんな事ないよ。
私も、沢山の年寄りを
かかえてる。
私にも事情は有るわよ。
私もお金が必要なの!!」
「ぷッ、年寄り?
どうせ二人くらいでしょ。」
「20人」
・・・・・「は?(笑)嘘」
「ホントだよ
年寄りの為に働きに
来たの!」
・・・・・・「なんで?」
アリサの目が開くだけ開いた。
「ん?なんでって
昔から務めてくれた
使用人さん達が行くとこもなく
未だ働いてくれてるからかな?
それに長年一緒にいるから
家族なのよ。
両親はお金の事は
心配いらないって言うけど
随分と困ってる。
放って置けないの
皆、湿布を1週間使ったり
入れ歯を犬に持ち逃げされて
ハサミ使いながらご飯たべてる。
レタスが噛めなくて痛いらしいの
楽にしてあげたい
ちゃんと口にマッチした歯を
プレゼントしたい。
だから私も副業探してる。
私もお金がいるの💰
だってメリーは85歳だし
働けないのよ。」
フ、フウウーン
「・・・・・そうだったの?
でも使用人がいるって
ヤッパリお嬢様じゃない。
それに御両親だって働いて
いるんでしょう。
お給料払ってるんでしょう。」
「昔はね払ってたかな。
今の年寄り達が若かったし
村にも沢山の働き手がいたらしい
けど今は落ちぶれているのよ。
お給料なんて払えないし
だから家族なんだ。
信頼で結ばれてる、お給料払えたら
払えるようになりたい。
勿論両親も働いているけど
でも、皆も協力して
働ける分は働いてくれてる
食べ物には困らないの
田畑で自給自足よ。
みんなが手分けして頑張って
くれているもの。
でも支払いがヤバイのよ。
現金が・・・無いのよ。
いまさっき迄働く場所を探して
いたんだ・・・
光熱費とか税金とか現金が無いから
半端ないレベルだから
跡取り居ないし・・
私が頑張らないと強制退去に
なってしまうし
そうなれば、年寄りはどうなるの?
だから私は働くのよ。」
2人は、見つめ合ったまま止まる
お互いの事情を知ったせいか
無言のまま又歩きだした。
僚の入り口でフローレンスが
口を開いた。
「目標のお金が貯まったら
今の仕事はやめてね
それ迄は応援する。
アリサの家族を守りたい気持ちは
身に染みて良く分かるもの。」
たった3時間のバイトでも時給
がいいなら結構な金額に
なるだろう。
土日入れるなら弟妹の学費
は楽に稼げる。
フローレンスはアリサの仕送り
に頼る家族の気持ちも良く分かる。
家も兄様から仕送りを
受けていることはフローレンス
には誰も話して来ないが
分かってる
屋敷の者達も助かっている。
兄様も仕送りしたくて家を出る
決心をしたのかもしれない。
兄様は男だ、
弱音なんて吐けないのだから
そう思い返すと兄様も
随分と悩まれた事だろう
フローレンスはこの城の中の
どこかに居る兄様に会いたくて
たまらなくなってしまった。
抱きしめて頭を撫でてもらいたい。
「明日土曜日だし
遠くから兄様を見るぐらい
良いよね!
騎士団の練習場に行けば会えるカモ」
フローレンスは僅かな期待を
持って歩き出した。
「アリサ、又ね!」
「うん・・あのねフローレンス」
アリサは何か言いたげにしていた。
フローレンスは頷く。
「キャバで働いていることは
誰にも言わないから、安心して」
その一言を聞いたアリサは
ホッとした表情を浮かべた。
アリサが、キャバ一本の仕事に
したら楽に稼げるだろう
でも妹弟に
「何処で働いているの❓」
と聞かれた時
「お城よ!」
と答えれる、それが弟妹の自慢だと言う。
お酒も飲めないしスキルも無い
ヘルプに付くだけのアリサには
アルバイトで充分
キャバにドップリと浸かり
稼ぐ勇気もまだ無いのだ。
フローレンスは求人紙を見ながら
4時間程度の仕事を探した。
土日は1日バイトに入れて
普通の日は本業が終わり
4時間くらい働ける所
パラパラパラパラ求人誌を見るが
中々見つからない。
土曜日の朝フローレンスは
ジーンズと薄桃色のTシャッを
着てポプラ並木の道を散歩して
いたのは見せかけで
兄カールを探していた。
バレ無いように
キャップを被って。
パカパカパカパカと軽い
ひづめの音がしたかと思うと
黒く光る毛色の
立派な鬣にしっかりとした長い足
フローレンスは見覚えがあった。
「アッこの馬は確か!!」
馬に跨るその人にも
しっかりと見覚えがあった。
うっ┣¨‡┣¨‡┣¨‡┣¨‡
フローレンスの胸は高鳴った。
┣¨‡┣¨キ┣¨‡┣¨‡
.。oOバ、バレませんように!
すれ違う時風か吹いてフローレンスのキャップが高く高く飛んで行った。
「きゃあーああぁぁぁ」
その声に馬の主も馬の歩を止め
フローレンスに目をやった。
自分を見上げる彼女は
長いカールのチョコレート
ブラウンの髪、真っ黒い瞳
┣¨‡┣¨‡┣¨‡┣¨‡
ポッテリと膨らんだ愛らしい頬
┣¨‡┣¨‡┣¨‡┣¨‡
唇はムッチリ、ピンク色
一瞬リアは言葉を失った。
「お前の名前はなんと「待ってぇー
高かったのー待ってー」」
リアは唖然
フローレンスは風の吹いた方へ
キャップを追って走り出した。
ポプラ並木は背を高く伸ばし
横、縦へと広がっている
その中へは馬は入れない。
リアは馬を飛び降りて
フローレンスを追ったが
「ひ、ヒェッ」
それに気づいたフローレンスは
何を思ったのかキャップは
諦めて逃げ出した。
「ゲゲゲ、捕まったら
兄様に告げ口される。
マズイ、今捕まる訳には
行かなーい!」
走れるだけ走る
山育ちのフローレンスには
こんな平坦な土地は
御茶の子サイサイ!!
捕まる気がしない
「待て待て待てー」
「またなーい」
「王太子命令だー」
「は?包帯使命ってなーに?」
「違━━━━━━━━━う
王太子命令だ━━━━━━!!」
「良く聞こえナ━━━━━━━イ」
「止まれぇ━━━━━━━━━━」
「ム━━━━━━━━━━━リィ」
ハアッハアッハアッ
こんな長い靴履いてるからだ
リアは靴を脱ぎ捨てようとしたが
中々汗をかいて脱げない!
その間にフローレンスは逃げて
行った。
「俺の命令を聞かなかった奴は
初めてだ。」
その日からリアはフローレンス
が忘れられなくなった。
「ハアッ」
出るのはため息ばかり
「り、リア様いかがされました?」
外回りに連れ出されたカールは
元気のないリアを心配して
ため息の理由を聞いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます