第10話
俺は朝起きるといつものように天舞音を起こし、朝食を食べ、学校へと向かった。
「おっはよ〜雄馬!昨日の配信見てたぞ!!お前シスコンだったんだな!」
「お前もか・・・」
まさか村松のやつまでも俺をシスコン扱いするなんて。
村松は続ける。
「いやしかしお前もようやく底辺脱出だな!」
「そうだな、確かに底辺脱出かも知れない。けどまだ俺の夢は変わらないよ。」
そう、俺の夢は『最高のVtuber』になること。
底辺を脱出したでうかれるわけにはいかない。
「そういやお前立ち絵はあのままなのか?せっかくマイクとウェブカメラを新調したのに。」
「考えてはいるんだが予算だとかその辺がちょっとな・・・」
「まあVtuberの立ち絵は高いからな、大手のVtuberの立ち絵だと何十万円もするって噂だし。」
「うん、そうなんだよな~、そこさえ解決できたら良いんだが・・・」
そう、それが自分の立ち絵を自分で書くことになった所以である。
もっと安いのあるだろと言われればおしまいだが俺には謎のプライドがあった。
いわゆる安いやつ買うぐらいなら自分で作った方が愛着が湧くという感じのやつだ。
大丈夫、理解は求めていない。
その後も俺は村松と他愛の無い会話を交わした。
放課後、俺は久しぶりに天舞音と下校することにした。
千夜先生の件について相談したかったからだ。
「そういえば天舞音、千夜先生の件はどうなったんだ?」
「それが~、その~、まあ50万円くらいでどうかという結果になっちゃって・・・」
「そ、そうか・・・」
わかっていたが、わずかにでも信じていた希望が消えたときの絶望は以外にも大きかった。
「そんながっかりしないで!千夜先生が言ってたんだけど、千夜先生の教え子兼アシスタントなら描いてくれるって!」
「教え子兼アシスタント!?」
「うん!最近独立しようとしてるらしいんだけど、その条件に描かせるってさ。しかもタダで!!」
「そんな、それはちょっと申し訳ないんじゃないか?」
そうだ、いくら教え子兼アシスタントといえどもイラストレーターであることには変わりない。
無料で描かせるなんて論外だ。
「そうとも限らないんじゃない?せっかくタダにしてくれてるならVtuberなりのお礼の仕方ってものがあると私は思うけど?」
「そうか、俺が有名になればその分その人の知名度も上がるってことか!!」
「それも1つだと思うけどあとは新衣装とかグッズのためのイラストの依頼が来る可能性もある。それだけ大きな可能性を秘めている先行投資ってことだよ!!」
「期待されてるってことか・・・」
「そうだよ!!」
「初めてだな、この誰かに期待されてるって感覚・・・」
そう言うと、天舞音はジト目で俺を見た。
「え、どうかしたか?」
「私は昔っから期待してるんだけどな・・・」
「あ、ごめん・・・」
「あ、聞き忘れたがその人ってどんな人なの?」
「あー私も言うの忘れてた!
らしいよ!!」
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