第21話 皇立アカデミー
アカデミーは、王立学院が規律を重んじるのに対し、自由と自立を重んじる校風だ。
前世でいうなら高校と大学の違いか。
自由だが、自分できちんとスケジュールを管理しなければ、進級や卒業ができなくなる。
きちんと管理し、血のにじむような努力すれば、一年で卒業に必要な単位を取る猛者も年に数名いるという。
私も一年で卒業な必要な単位を取るのが目標だ。
そして、残り二年を自由に過ごすのだ!
新たな恋に生きるのよ!
私はクロード殿下の元に帰りたがる本能を叱咤激励した。
事務局で、単位の申込をする。
今日はゲーム開始の日。今頃主人公レンが、王子宮に迷い混んでる頃か。
しかし、厳重な警備を誇る王子宮に迷い混めるものなのか?ゲームとはいえ謎は深まるばかり。
まあ、どうでもいいか。
ぼーっと、考え事をしていたら、後ろから抱き締められた。
いやー!不審者。安全な筈のアカデミーで…。こんなとこで死にたくない。どうせ死ぬなら黄金竜に食べられる方がいいなーんて。
めっちゃ良い匂いがする。私の番だ。
「無防備すぎるぞ。拐われたらどうするんだ。」
私を後ろから抱き抱えた誘拐犯が怒っている。
クロード殿下、どうして?今頃主人公に会っている頃じゃ?
後ろから、ユリウスとエドワードがひょっこりと、顔をだす。ユリウスかわゆし。エドワードがにっかり笑う。ワイルドイケメンのやんちゃ笑顔、ギャップがたまらん。
「ひとりで留学させるか。私に何も言わずに行くから、追って来るのに手間取ったぞ。まあ、一年で戻るつもりだったのなら、あまり責められんな。」
私の単位取得予定表の控えを覗き込んだクロード殿下は、私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
私の単位取得予定表をユリウスに渡したクロード殿下は寂しげに呟いた。
「もう、アンドレアのいない日は1日たりとて耐えられない。」
それは私のセリフです。
「アンドレア、俺達に内緒で何してるんだよ。留学するなら、言ってくれれば良かったのに。一人で行くなんて水くさいぞ」
「僕たちも元々アルバート殿下と一緒に3年間留学予定だったんですよ。アルバート殿下がいきなり番と離れたくないって騒ぎ出したからどうなるかわからなくて言えなかったんですけど。急遽クロード殿下が、代わりに留学される事になって…。」
私のカリキュラムを見ていたエドワードの顔が青くなる。
「俺、このカリキュラムついていけるかな?3年の予定が一年に凝縮されてる。」
「エド、僕がついてます!大丈夫。一緒に卒業しましょう。」
「ありがとう、ユーリ」
抱き合う二人。この二人仲良しだな。
いつの間に愛称呼び?
アルバート殿下といい、この二人といいゲームと違いすぎる。
「ユリウス、エドワードをたのむぞ。一年で卒業する。もし、留年したら、エドワードだけ置いていくからな。」
「承知しました。」
「死ぬ気でがんばるぜ!」
本日、ゲーム開始当日。
攻略対象者3人が不在。一人は、番持ち。ゲームはどうなるんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます