07 錆びてしまえばいいのに



 錆びた体をひきずって

 その機械が歩いていく


 たくさんの名前を刻んだ墓場へと


「私が生まれた日の事は、昨日の事の様に思い出せるのに」


「真っ赤な炎に包まれたあの日の出来事は、全然思い出せない」


 錆びついてしまえばいいのに

 誰も助けられない こんな体なんて


 動けなくなってしまえばいいのに

 それが私に与えられるべき罰


 だから それが叶わないなら

 私を誰もいない世界に 捨ててください


 作られた命に 宿した心 誰かを愛する気持ち 慈しむ気持ち

 

「守りたいと思った世界があった だから守るための力を手にしたのに」


「私の体の中に侵入してきた 小さなウイルスが 私をのっとった」


「だから私は体をきしませながら 守るべき者達を攻撃するしかなかった」


 錆びついてしまえばよかったのに

 全てが終ってしまう前に


 動けなくなってしまえば救われたのに

 私も 守りたかった大切な人達も


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