第75話 ジェイドが魔族ってマジですか?
ルイズ視点
御前試合、『混沌を主る漆黒の翼†ジェイド』は絶対に勇者だ……なんて、お父様が喜んでいるからあの時は言い出せなかった。
でも私はずっと怪しいと思っていた。ジェイドはもしかしたら……魔族かもしれない……。
実はジェイドの試合を見ている時、お腹の辺りがキュンと熱くなったのだ。
最初はジェイドの戦いを見ていて、興奮したのかと思っていたが、ジェイドの事を考えるだけで忌々しいお腹の紋章が疼いた。
もしも明日の謁見の時に、ジェイドに近寄ってこの紋章が強く疼く様だったら……ジェイドはあの時魔王と一緒にいた魔族に違いない!
その時は王国騎士団の団長クラスが何人も集まっているんですもの。
あの魔族を生け取りにして、絶対に紋章を消させてやる!
鑑定官視点
いやーついに呼ばれちゃったか、王宮に。
だってワシ、世界で唯一のレベルマ鑑定官だもんね。実際はレベル1だけど(笑)
しかも今回の依頼は超簡単なお仕事!
なんと、1人の男を鑑定してそいつがロンギヌスの槍のスキルの持ち主か見るだけ!
その間王宮で贅沢し放題!
報酬も莫大!
と思っていたのだが、鑑定の仕事が早まってしまった。
御前試合優勝のジェイドとかいう奴が、もう来ることになっている。
ああ、贅沢生活もこれで終わりか。
まぁいい。これが終わったら莫大なお金が入る!
ワシは本当は鑑定のレベルが1だから、カタカナでしかスキル見れないけど、ロンギヌスの槍ってスキルだったらいいんだろ?それなら余裕余裕!名前だけ見るだけだもん。
お、来た来た。あれがジェイドか……。王様の前に跪いて挨拶してるな。
今のうちにスキルを見とこう!
どれどれ、ユニークスキルは……セイソウ……?
セイソウ……?セイソウ……?確かにレアなスキルだ。でもどこかで見たことがあるような……!?
あーーーー!!!!!あれはワシが昔掃除のスキルって鑑定したガキじゃねぇか!?
って事は清掃って!?もしかして聖槍って意味だったのか!?
や、やばい!あいつがもしワシのこと覚えてたら、レベルマ鑑定官が嘘だってのがバレちまう!
いや、そもそもジェイドがロンギヌスの槍の持ち主だって事になったら、昔鑑定した鑑定官は誰だ、そいつを見つけて処罰しろ!なんて事になる!
昔鑑定したのは……ワシだ!やばいやばい!経歴詐称に国への莫大な損失、軽く見積もって……打首!?
どうするワシ!?誤魔化さなきゃ!!!!
と慌てていたのだが、天は日頃の行いの良いワシに味方してくれたようだ。
都合よくルイズ姫が声をあげてくれる。
「んっ……はぁ……そ、そいつは……んっ!勇者なんかじゃ、ない……そいつは私を魔王の領域から、ここまで連れてきた、魔族よ!!」
ま、魔族?いや、よく分からないけどチャンスだ!ここは乗っかっとけ!
「そうだ!今鑑定した!そいつはロンギヌスの槍の持ち主なんかじゃない!魔族だ!捕えろ!」
「ま、魔族?」
「皆の者、王を守れ!」
兵士たちが素早く王を守る布陣を作る。
雑兵でも冒険者ならBランククラスの実力者。王の側近ならSクラス。それが十数人!
「な、なんで?に、逃げるか?」
そう言って逃げようとするジェイドの前に、赤い鎧の大柄な兵士が立ち塞がる。
「ハロー、ジェイド。お前があの時の幻術男だったとは。こんなとこで再開できるなんてな。もう幻術は俺には気かねぇぞ!!」
騎士団長クラスならSSSクラスの強さだろう!
死んだな、ジェイドのやつw w w
いくらロンギヌスの槍の勇者が強くてもSSSランクが複数人いる王宮で生き残れはしまい。
あいつが死んで!俺は莫大な報酬で鑑定官引退してハーレムを作る!
これでハッピーエンドだ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます