第16話 幸せって、実はすぐそこにあるものってマジですか?

「ふぅー」


後悔はない。


「すー」


だって横で静かに寝息を立てる俺の未来の嫁さん、めっちゃ可愛いいんだもん!


俺はノエルの青い髪を優しく撫でた。


「ん」


「あ、起こしちゃった?」


「ん、もうそろそろ起きるつもりだった。聖槍の説明しなきゃ」


そう言ってノエルは


「魔眼、片方の眼に魔力を集中させる感じ」


そう言って片目に魔眼を発動させてみせた。


「おう、ノエルのユニークスキルだよな。昨日聞いた」


「そうじゃないよ!ほら、タクトさんもやってみて!」


「俺?だってそれはお前のスキルだろ?」


「いいから!」


ノエルそう言って頬を膨らませ俺の肩をぽかぽかと叩く。


「分かった分かった」


一回やれば納得するだろ。


「魔眼」


俺がそう言って片目に意識を集中すると、不思議な感触があった。


「あ、れ?」


ノエルの方を見る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ノエル 


ユニークスキル 『魔眼』 スキルレベルMAX


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「もしかして俺、魔眼が出せてる!?」


「そう。たぶん魔眼の発動中は無詠唱で魔法も使えるんじゃないかな?」


「な、なんで?」


「聖槍は貫いた者のユニークスキルを得る」


「聖槍?貫く?スキルを得る?一体どういう?」


「つまり、タクトさん。あなたは関係を持った女性のユニークスキルを全て使えるようになるってことなんだよ」


「え、えええ!?」


とんでもないスキルだぞ、聖槍!


「前にも言ったけど、僕は多少の浮気には目を瞑るいい女だから」


そう言ってノエルは小さな胸を突き出し、えっへんというポーズをとった。


「タクトさん、今まで辛い思いした分、いっぱいスキルを使って、幸せになってね」


え、なに?俺の嫁って世界一いい嫁なんじゃね?


ノエルのためにも俺が無職っていうのはいかんな。


色々スキルやら職やらなんやら、落ち着いて考えなくては……と思ったその時だった。


「キャァァァァ!何よ!これぇぇぇぇぇ!!!!!!」


隣の部屋からとてつもない絶叫が響いた。


やっべ!幸せすぎて忘れてた!姫様だ!俺このままじゃ姫様に死刑にされるんだった!


俺は裸のまま、光の速さで姫様のいる部屋に飛び込んだ。

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