第302話 運命の出会い

「ふむ…どうやら英雄パーティの3人はあの宿屋に泊まるようだな。」


奴隷2人を引き連れて奴隷商人は食事を摂っていた。


パンとコーヒーと言うシンプルな組み合わせだが、その上に(パンの上に)大量のバターをコッテリと塗って、コーヒーも砂糖とミルクを多く入れている。


量も多く普通の人なら2~3個の所を奴隷商人の男は30個頼んでいる。


そんな偏った食事をしていたらそりゃあ太るだろうよ、と思ってしまう程のデブ活だ。


「………」


「…お腹…空いたのじゃ…」


そんなデブ男の側に痩せ細り、何も食べさせて貰えてない子が2人、奴隷の2人だ。


静かに座りながら、今の飼い主の食事が終わるまでただただ待つ。


奴隷の食事は基本1日一食、パン一切れと濁ったコーヒーの様な物を渡される、これが1日に必要なエネルギー量を賄える訳もなく、常に空腹状態でいるのだ。


それでも貰えるだけまだマシで、他の所では同じ奴隷達で奪い合いが怒ったり、死んだ人間の肉などを喰わされる所も普通にあるのだ。


「だったら、宿屋から出る前にお前達を売るか、冒険者と言うのは、性に関しても大変だと言うしなぁ」


「…冒険者……」


冒険者と言うのはギルドのある街に滞在して働く事もあるが、英雄パーティの様に旅をしながら働く人達もいる。


そんな人達の問題点は性欲だ、人間の三大欲求は食欲、睡眠欲、そして性欲だ。


しかもパーティ内に女性が必ずしもいるとは限らないし、その人とそう言った行為が必ずしも出来るわけではない。


その為、男女ペアの冒険者、主人公の幼馴染み、婚約者などが他の男に寝取られるのは、たまに起こるのだ。


無論そんな簡単に股を開く女も女だ、もし妊娠してしまえば、冒険者なんて続ける事は出来ないし、出産、子育てだって楽ではない。


だからこそ男達は風俗などに行って性欲処理をするのだ、そしてもう1つの利用方法が、使い捨て可能の奴隷だ。


奴隷と言うのは基本的に人権は無いに等しい、主人に逆らえない様に首輪され、逆らったら殺される、それを利用して性欲処理をして妊娠したら殺す。


そんな事も起こっているのだ。

無論そんな事を王国が認めているわけではない、そんな事を認めれば反乱が起きて国は滅ぶ。


しかし取り締まるにしても、相手は裏社会とも繋がっている奴隷商人達が多く、イタチごっこが続き、中々改善出来ていないのだ。


「お前達の様な化け物なら、死んだ所で退治したって事で、誰も困りはしない、むしろ害悪が消えて喜ぶぞw」


「ブヒッブヒヒッ」と豚の様に笑いながら、パンを食べる、食べ方も汚くて、飲み方も酷い、品がなってないと言うのはこの事を言うのだろう。


「さて、そろそろ行くか、ほら行くぞ!」


食事が終わったのだろう、席から立ち、金貨を置いて宿屋へと向かう、「お釣りはいらない」と言う事なのだろう。


奴隷の2人も黙って付いて行き、英雄パーティが泊まっている宿屋へと向かう。


「さて、宿も無事に取れたし、ギルドに行って早速依頼を受けよう。」


「そうだね、ゆっくりしてると日が暮れちゃうからね。」


「そうですね、流石に夜は冷えますから、早く終わらせたいですね。」


すると宿屋から3人組の人達が出てくる

1人は黒いパーカーの様な服装を

1人は貴族が着ていそうな軽い軽装を

1人はメイド服を着ている。


「ブヒッ丁度いいあれが英雄パーティだなぁ」


「…あれが」


「英雄パーティ…じゃと?」


見るからに若い3人だ、想像していたゴツくて、汗臭くて、怖いと言う感じではない。


「…ん?何ですか?」


そんな事を思っていると、目の前の青年は自分達に話しかけてきた。


「ああ、すいません、少し確認したいのですが、貴方達は英雄パーティーの3人で間違いないでしょうか?」


奴隷商人が媚びを売った声で話しかける

見るからに気持ち悪い。


「…?ええそうですが?」


「あの…貴方は?」


青年と貴族の娘っぽい2人が、男の素性を聞く、側に奴隷である自分達がいるのだ、怪しんで当然だろう。


「ああ、これはすいません、私は奴隷達を売り捌く、奴隷商人をしております。」


「奴隷商人…」


メイド服の女性がそう言って自分達を見る

その目は軽蔑の眼ではなく、慈悲の眼

可哀想、救いたいと言う眼だった。


「どうです?この2人を購入して見ませんか?」


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この外伝も長くなる予定ですが、暖かい眼で見てくださるとありがたいです。

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