第251話 矛盾点 (まともな)勇者side

「僕達の物語は終わっていない…か。」


リムルの言葉をルクスは言う。


「はい、こちらの世界の魔王はもう倒しました、これ以上の事は起こる事はもうなかったはずです。」


しかし現実では既に起きてしまっている、DDダークデビルの活動によって既に被害が出始めている。


「しかし、そうなると矛盾点…いえ、分からない所があるんです。」


「わからない所?」


リムルはどう言う事なのか分からず、シルフィの言葉に反応する。


「はい、ヤーヴァイ村についてです。」


シルフィは紙を取り出し、簡易的に地図を描く。


「ここが私達の住むカルデア王国。」


そう言って地図上で東側に描く。


「そしてこちらが王都オワイコット。」


地図上で左側にオワイコットを描く。


「最後にここがヤーヴァイ村。」


ヤーヴァイ村はカルデア王国と王都オワイコットの中間点に描く、そしてそこから線を引き、シルフィ達の世界とルクス達の世界を分ける。


「これが私達が考えている境界線です、勿論これが真実とは限りませんが。」


「でも、メラナと調査をする限り、こちら側は間違いなく僕達の世界だ。」


左側を自分達の世界と仮設しても、あながち間違いでは無い事が分かるが、そこからまた違う境界線によって変わるかもしれないので安易に判断は出来ない。


「私の考える矛盾点…いえ、疑問点は2つ。」


シルフィはペンを持ちヤーヴァイ村に○を囲む


「何故ヤーヴァイ村は同じ話が通じるのか、世界が違うなら伝承も違う筈。」


「だけど、ここで私達は出会い、話も通じた。」


剣聖の誕生地、そこから受け継がれる剣の職業、イレギュラーな存在、この話はシルフィ達の世界でも通じる。


元々ヤーヴァイ村はルクス達の世界だ、ルクスが迫害され、アイリによって悲惨な目にあった地でもある。


その話が通じるのに、オワイコットの事は知らないのはおかしいのだ。


「つまり何か特殊な力が働いた…と言う事か?」


「ええ、あくまでも想像の範囲ですけどね。」


アリアンの言葉にシルフィは頷く。

しかしそんな事が出来るのは女神アダマスか女神アマスくらいだ、でもそう言った話は聞かないので、確かめようが無い。


「そしてもう1つ、厄災についてです。」


「厄災?」


聞いた事がない単語なのだろう、メラナ姫は頭の上で?マークを浮かべている。


「はい、私達の世界では数100年に一度現れるとされる人類の敵です、それを倒すのが本来は勇者を筆頭とする4人の人間です。」


しかし、厄災は現れても、剣聖達は現れず、困惑している。


シルフィはペンを持ち現れたとされる所に○を描く…すると、


「え?」


「はい、もしリムル様の言っている事が正しければ、厄災は貴方達の世界で起きています。」


まだ確定では無いが、今のままだとそう言う事になる。


「…わけわかんねぇ。」


「本当に訳がわからない。」


ルクスとアリアンはシルフィの書いた地図を見て、より一層頭を悩ませる。


「こればっかりは仕方ないよ、僕達はまだ何も知らないんだ、これを知る為には行くしかないんだ。」


自分達の足で行き、自分達の力で調べる、それしかわかる道はない。


「難しい事は置いといて、取り敢えず、道は長いけど行くしかないでしょ?」


「それはそうなんだけどな?」


メラナ姫は簡単に言うが勇者であるリムルはその大変さを理解しているので、何とも言えなかった。


「その為にはお金も必要なので、時間はかかりますね。」


そうシルフィが苦笑するとメラナ姫は「ん?」と言ってすらっと言う。


「お金がないなら、私達が援助しますよ?」


「…ふぇ?」


軽い冗談のつもりで愚痴ったら、メラナ姫は「当たり前でしょ?」みたいな顔でこちらを見る。


「通貨は私達の世界と同じみたいだし、別に金貨1000枚くらいは平気よね?」


「まぁ、義父上が許可すれば…」


「なら、決定ね。流石にリムルを同行させる事は出来ないけど、資金援助くらいは別にいいでしょ、世界を救う英雄達なんだし。」


すらっとえげつない事を言うが、メラナ姫の凄さがよく分かる、資金援助を今日あったばかりの人にするなんて普通はしない。


けれど、他人の為にお金をすぐに出せる人はとても信頼されやすく、皆から好かれる。

(騙され易いと言う欠点もあるが)


これがオワイコットの姫の器量なのだろう

シルフィとアリアンは改めてメラナの凄さに度肝を抜いた。


——————————————————————

メラナ姫


リムルと出会う前は男勝りな性格で、服も仕草も行動も男の様な行動をしていたが、リムルと出会い、魅了も一切使わずにメラナ姫と親密な関係になり、メラナ姫もリムルの為に女の子らしい事をし出した


当時のメイドや執事達は度肝を抜き、明日は夏なのに大雪が降ると(ガチで)騒いでいた。


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