第155話 平穏なひと時 1
「文化祭?」
「うん、やるみたいよ。」
ミュウがエイトにやるみたいよ、と言うのはカルデア学園にそう言った行事がなかったからだ
初等部、中等部、そして高等部1年目をこのカルデア学園にいたエイトはそう言った事を1度もした事がないのだ。
エイト達は今、カルデア学園の教室にいる、カイト達がエイト達の教室にいなくなったおかげで女性生徒の数は減ったが、それでもまだ女性はいる。
そう言った女性達は彼氏持ちか、腐女子、カイトの様なナルシストが嫌いな女性達だ。
「しかし、なんで急にやる様になったんだ?今までなかったのに。」
「え?エイトなかったの?」
「ああ、将来優秀な人間を育成する為にその様な物はいりません、と初代学園長からずっと言われてたらしいからな。」
「へぇ、て事は今年からやるっと言う事は」
「おそらくミュウ様の想像通り、現学園長 ターピー•ダイヤル学園長の仕業でしょうね。」
シルフィがわざわざフルネームで言った人物
ターピー•ダイヤル、このカルデア学園の学園長にて、エイト達の味方(?)ポジションにいる人物、未だに謎多き人物だが信頼は(一応)出来る。
「その学園長もいきなり方向転換して大丈夫なのかね?」
「なんで?」
エイトは普通に疑問に思いアリアンに聞く、別に文化祭程度やっても良いのでは?
と思っているのだ。
「確かに賛成する人は最低でも1人は出る、けど伝統として文化祭などをなくしてたんだから、その伝統を壊す様なことをすると」
「教師達が反対すると?」
「多分、主に年寄り連中だな」
これはアリアンの意見に同感する。
年寄りには頭の硬い人達が多い、昔のやり方でやろうとするから、今の学園長のやり方に反対する人も必ず出るだろう、そうなったら大変だ。
「確かに、この世に100%意見が通る事なんてないからな。」
エイトの言う通り
学園祭をやるにしても、反対者達を納得させて、妥協点を見つけて、その上で双方の意見のうち片方の意見を濃くして、学園祭をやっていくだろう。
全面的に押し通したら
絶対王政、思想統一までは行かないが似た様な感じになる、そうなればいずれカルデア学園は暴動が起こり大変な事になる。
嘘かもしれないが、これが国同士の話し合いに置き換えれば、理解出来るはずだ
学園祭を領土問題
反対者を敵国
妥協点を見つけて領土分配
押し通したら、戦争、内乱、革命運動、デモ
大袈裟な話になってるかもしれないが、このカルデア学園は全世界の人達が集まる所、人種差別や国のいざこざ等、面倒な事も多々あるため、隔離寮の様に簡単には行かないのだ。
それらを抑える為に教師達が話し合い
生徒達に納得のいく案を出し合うのだ
しかし今はそれが出来ているのかわからないのだ。
「そうですね、エイトさんの言う通り、100%意見が通る事はまずないでしょう。」
「そうなると、今年からなのは…」
「多分、ずっと話し合っていたんだろうな。」
「そんで、今年やっと決まった…てな感じか?」
多分アリアンの言った通りだろう。
学園長が主として教師達と話し合い、反対者達の意見を聞き、少しずつ賛成派の方に来させて今に至るのだろう。
「学園長も粋な計らいをするよな?」
「そうだよねぇ、でもまぁ」
ミュウはエイトに抱きついて
「エイトと学園祭を楽しむなんて最っ高だわ!」
「私"も"いますから、お忘れなく」
「あたいも忘れるなよ?」
エイト達は学園長が開催してくれる学園祭に心を躍らせる、もちろんエイトのクラスも何か出しものをやらなくてはならないが、それはまだいいだろう。
「となってくると、俺の親は…仕事で無理かなぁ…」
「私は…公爵家としての仕事と、うちのクソ親父の後始末ね。」
「クソ親父って…まぁあたいの両親も無理だな。」
「残念ですね、エイトさんとミュウ様の両家顔合わせが出来ないなんて。」
それに関しては仕方ない事だ、親には親の都合がある、それを自分達が無理矢理押し通すなんて出来るわけがない。
「まぁ、まだ厄災も倒してないし、俺達の事はもっと後でも平気だろ?」
「それもそうですね」
「おーい、エイト、フローラ様、シルフィさん、ボトム様ー!」
そんな話をしていると、クラスメイトが話しかけてきた。
「ん?どうしたの?」
「学園祭の出し物をどうするか決めるから、エイト達も参加してくれないか?」
「わかった、ミュウ達も良いよな?」
「うん、良いよ?」
「はい、構いません。」
「取り敢えず、今日はこっちに集中するべきだな。」
アリアンがそう言うと3人も頷き、クラスメイト達と一緒に学園祭の出し物の話を始めた。
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「学園なのに学園モノが少ない」なと思ったので、やっぱり入れよ!っと思い、書きました。
多分これが5章の終わりになる(予定)
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