第78話 愚か者 カイトside

~1時間後~


「………ん」


「っ……」


「こ…ここは?」


「皆んな!気がついたんだね!」


メグミは2人が起きた時に合わせて、いかにも今目を覚ましたかの様に振る舞う

カイトはそれに気が付かなかった


「カイト君!?…え?ここは?」


「ここは保健室だよ、僕達は卑怯な手を使われて負けて、酷い目にあったんだ。」


カイトは戯言を言うが、サユリとアイは信じる、カイトが正義であり、絶対である彼女達にとってカイトが正々堂々と戦って負ける事自体、あり得ないのだ


「そうだったんだ…でもやっぱりズルしてたなんて。」


「そうね(ズルなんてされてないけど)」


体の傷はほとんど治っているが、精神的、肉体的疲労感は取れない為、彼女達は筋肉痛に襲われたかの様に、苦しみながら布団から出る


「大丈夫なのかい?まだ寝てた方が…」


「うん、そうなんだけど」


「あいつらがズルして勝ったんだと思うと腹が立って…」


「…うん」


やはり皆んな同じ気持ちなんだろう

皆の気持ちも1つになるのを感じ

4人は保健室から出ようとすると


「カイト君!」


ガラッと先程と違う女の子が保健室のドアを開けて入って来た


「どうしたんだい?」


「学園長が貴方達4人を呼んでるの!すぐに来て!」


「学園長が?」


学園長が直々に話すなんて、それほどまでに今回の件は大きいのだろう


「まぁ当然でしょ?」


「なんで?」


「だってカイト君は勇者だよ?それなのにこんな酷い目に遭うんだから、心配しても当然でしょ?」


全くの見当違いだが、彼女達にとって彼が正義であり、絶対だ、その考え方を持って行動をする


「やっぱりそうだよね!」


「…そうね。」


(むしろ不正行為をしたのはこちら側なのだけど…大丈夫かしら?)


とは言え、起きてしまった事はしょうがない

4人は呼びに来てくれた子に感謝して

保健室から学園長室まで向かう


その途中、担任も屑のエイトにも合わなかった為、自分達が1番最初なのだろう

当然だ、自分達は勇者チーム

1番最初が当たり前だ


そう思いながら歩いていると、学園長室まで着く


扉の上に「学園長室」と言う板が置いてある為間違いないだろう


「それじゃあ入るよ?」


「はい」


「うん」


「行こう」


ドアを2回ノックして「失礼します」と言って入る


そこには椅子に座ってこちらを見つめている

その威圧感は担任よりもあり

流石、この学園を統べる者でもある


「………」


「…?」


学園長はこちらを見つめるだけで、何も言ってこない、それを不思議に思ったのか

サユリが声をかける


「…あ…あの…学園長?」


「………」


サユリが声をかけても黙り続ける

学園長はカードを取り出して

カードの1枚を手に持つ


「………?」


不思議に思っていると学園長はカードを一瞬の内に消してこちらに指を指す

よく見るとカイトの胸ポケットを指差しているのがわかった


カイトが胸ポケットを確認すると

そこには1枚のカードがあった


「…これは?」


とある男が片手に白い薔薇

片手に荷物を木に掛けて、波の激しい

崖の上に犬と男がいて、その男に犬は吠えながら警告をしている

男はそれを無視しながら崖に向かって優雅に歩いている


しかし、それは

絵が逆さまにになって出てきた


「THE FOOL•愚者の逆位置」


「ザ•フール?」


「…………」


なんの意味か全くわからないと言う事なのだろう

カイトも頭を捻らせれて考える


ご都合主義のカイトが導き出した答えは


「もしかして、エイトは崖から落ちて死ぬって事?」


「あ!なるほど!」


「でもカードが逆さまの意味は?」


「たまたまだろ?」


そうやってカイトは自己解釈をして

学園長が次期にエイトが死ぬから安心しろと伝えているのだと勘違いする


そんなカイトに呆れながら学園長は言う


「ドアのノックの仕方もわからない、入り方も知らない、だから君は愚者の逆位置なんだよ。」


「え?」


——————————————————————

何とか出来ました(~_~;)






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