第76話 ギャンブラー(学園長…)

「先程学園長はエイトさんの顔に免じて許す…と言っていましたが…何がどうなってんですか?」


学園長室からの帰り道、シルフィは先程思った疑問をエイトに問いかける


「そうだぜ?あたい達結構叱られると覚悟してたんだからな?」


「…エイト…見破ったの?」


アリアンも同様に疑問に思っているのだろうが、ミュウは何となくわかっていたのだろう

何故エイトが許されたのか


「まぁな、てかミュウは気が付かなかったのか?」


「…うん、どうやって合法的にカイトを殺せるか考えてた。」


ミュウの頭の中はエイトの事とどうやってカイトを亡き者にしようかの2つしかないのだろうか?とても恐ろしい事を平気で言う


「ミュウ…そんな怖い事考えなくて良いからね?」


「やだ、エイトをもう失いたくない、だからエイトを傷つける人は、皆んな敵。」


そう言ってエイトに抱きつくミュウ

照れ隠しではなく、まるでマーキングの様に体を擦り付けている


(エイトは私のもの…ゼッタイニワタサナイ)


「所で、先ほどの質問に答えて欲しいのですが?」


ミュウがエイトに抱きついているのが気に食わないのか、少し怒った感じでシルフィは問いかけてくる


「ああ、そうそう。」


「学園長さ、さっき担任の嘘を見破る時に魔法を使ったって言ってたよね?」


「ええ」


「あれさ、嘘なんだよね。」


「え?」


「は?」


何言ってんだこいつと言う顔つきで見てくるので、エイトは前世の知識を使って教える


「コールド•リーディングって言うのを学園長は使っていたんだ。」


「コールド・リーディング」のコールド(cold)は「準備なしに」、リーディング(reading)は「相手の心を読む」という意味。つまり、事前の情報や下調べなしに、あたかも相手の心を読んだかのように見せるテクニック


「こうるどりぃでぃんぐ?」


「…って何だ?」


「まぁ簡単に言えば、魔法ではなくイカサマ、顔を表情や、声のトーン、微妙な変化を利用してあたかも心を読んでいるかのように見せるものさ。」


これはイカサマ師やニセ占い師等が使う

テクニックで賭け事などでも使われている


「…私達も…使える。」


「まぁ今回の相手はそんな事をしなくても良かったけどな。」


だからこそ学園長は許したのだ

エイトは学園長がそれを使い、最初っから

わかっていた事を踏まえてエイト達を試したのだから


「あの学園長、俺達や教師を束ねるだけはある。」


だからこそ学園長は敵に回してはいけない

人物だ、今回は許してもらったが次はわからない


「…私達はまんまとあの人の術中にはまった…と言う事ですか。」


「てか、それにすぐ気づいたあんたもあんたよ。」


「…まぁな。」


(アリアンは前世の記憶を取り戻してないし、別人の可能性もあるから黙っておこう)


ミュウとシルフィの2人だけなら大丈夫だが、アリアン前で言ってしまえば、理解してもらう事は出来ない


いきなり「前世の記憶」と言っても

信憑性はないだろう


「あの人…ギャンブラー?」


「今は知らないけど、昔はそうだった可能性はあるな。」


とある小説でも、こう言ったのに長けているのはゲーマーやギャンブラー等

対人間との賭け事等をやっている人が多い


この世界にも賭け事はある

そうなると学園長が昔やっていた可能性は

否定できない


「ま、あくまでも予想だけどな。」


「そうですね、そんな人が学園長になれるわけがありません。」


「あたいもそう思うぜ。」


——————————————————————

「…学園長と言うのは人脈に長けてないとやっていけません。」


そう言って学園長はトランプのカードを丸い円の様に並べて1枚のカードをピンッと弾く


「私も元々ここで働く予定はありませんでしたが…彼の様な子がいるなら、やってて正解だと思いましたよ?」


するとカードは全て縦に上がり、倒れない様に隣のカードが重なり三角形の様になる

そしてそれは1枚だけではなく全てのカードがそうなっていた


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応援コメント本当にありがとうございます。

(その言葉が本当に救われます)


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