第18話 お節介は幼馴染みの特権(求めてません)
普段であれば教室には人はおらず、その僅かな時間がミュウにとっての憩いの場…そしてエイトとの楽しみでもあった
しかしエイトとの同居することになり有頂天となっていた彼女はその時間を潰してしまったのだ
「………」ブルッ
「なぁ…アリアン。」
「?」
先程からずっとエイトとアリアンの影に隠れているミュウにエイトは疑問を持ちながらアリアンに話しかける
「…ミュウってさ、前の学園でもこんな感じだったのか?」
「…そうだな、基本的にあたいか、シルフィが一緒にいないと駄目だな。」
「まぁミュウ様の自身の事もありますが、それ以外の理由もありますので。」
「ひ…1人でいると、へ…変な人に絡まれるから…」
その言葉だけで全て理解する、カイトのせいだ、多分1人でいると
"1人じゃ危ないよ"とか
"一緒にいよう"みたいな事を言ってしつこく付き纏うからだと思う
勿論ミュウの人見知りも理由の一つだが
それに加えてカイトのストーカーを入れるとミュウを1人にするのはあまりにも危険すぎる
他のアリアンとシルフィならなんなく逃げる事が出来ると思うが、この状態のミュウを見る限り、1番大変だろう
「本当、大変な事になってるなぁ。」
これに惹かれる理由が本当に気になる
魅了魔法や洗脳魔法でも使っているのかと本気で思ってしまう
「そうだなぁ…っとついたぜ…ここ…だよな?」
「はい、初めての登校なのによく分かりましたね?」
「まぁ、なんとなくな…うるさい声が聞こえるから。」
「「「……ああ」」」
女の子達の好意的な声とそれに全く気づかない男の憎たらしい声
呪いが今も続いているのならこの声の所が自分のクラスだと認識出来る
「…行くかぁ。」ハァ
朝一番の深い溜息を溢しながら、教室に入る
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ガラッと音が聞こえると皆んなが一瞬だけこちらを見る、しかしエイトだと分かると皆視線を戻す
そんな中人一倍敵対心を燃やしている男…カイトだけがずっとこちらを睨みつけている
そして…
「………!?」ガタッ
後ろからアリアン、シルフィ、そしてエイトとの影に隠れているミュウを見てカイトはこちらに駆け寄る
「アリアン!来てくれたのか!?」
(顔近っか)
カイトはアリアンに顔を近づけて、会えた事に喜んでいる
「………近い。」
「ああ!ごめんごめん、久しぶりに会えて嬉しくて。」
あからさまに嫌そうな声なのにカイトは全く気づかない、アリアンもカイトと話したくないのかぶっきらぼうに答える
「そ」
「そうだよ!僕に会いたくて来てくれたんだろ!?いやー、幼馴染みがずっと病気で休んでるから心配だったんだよ!」
どうやらカイトの頭の中ではアリアンの不登校は病気のせいで、今日は自分に会いたくて来てくれたと思い込んでいるらしい
(それってミュウにも言わなかったっけ?)
(私達は病弱で、だから幼い頃はずっと家にいた…とでも思い込んでいるのでしょう…そう言う節で話している時もありましたので)
もしそうだとしたら、カイトの頭の中は本当のお花畑だ自分の都合の良い事しか考えない本当にやばい人間って事になる
「ミュウ!今日教室にいなかったから心配したんだぞ?」
「………」
「困ってることでもあるのか?僕達は幼馴染みなんだ、お前の事は誰よりも理解しているんだ、何かあったら相談してくれ。」
「………いい。」
周りの目とカイトのいやらしい目がミュウを更に縮こませる
やっと振り絞った声で一言断ったがカイトにはそれが通じない
「とにかく、早く席に着こう、お前は体が弱いんだから、休んでなきゃだめだ。」グイッ
そう言ってエイトを押しのけて、カイトはミュウの腕を掴み自分の所に連れて行こうとする…が
「や…めて!」ギュッ
「…え?」
ミュウはエイトと目が合うとエイトにしがみつき、カイトを突き放す
それに驚いたカイトだが、次第にそれはエイトに対する敵意に変わる
「…お前、僕のミュウに何してんの?モブのくせにイキがるなよ…な?」
その言葉にカチンと来たエイトは、ミュウを自分の背中に隠して立ち塞がる
(あらあら)
(はぁ、エイトも本当に災難だなぁ)
そう思いながらも2人はエイトの一歩後ろでミュウを守りながら立ち塞がる
もういい加減、我慢の限界だ
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続く
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