アイ、メグミside2 わからない心
ガシャーン…と大きな音が鳴った
何事かと思っていくと、お姉ちゃんが鏡を素手で割っていた
その事については驚いたが、多分彼奴のせいだろう
エイト.マクラレン
同じ家族という事だけでも吐き気がする程醜い男の名
数ヶ月前までは彼奴を本当の兄の様に慕い1人の女性として愛してしまった穢らわしき男
…の筈なのに
「心が…苦しい…」ギュ
まるで大切な物を失った時の様な…
(そんな事はなかったが)
そんな感覚が自分の心を締め付ける
お姉ちゃんもきっとそうだろう、先程からこの感情が分からずずっとぶつぶつと何かを言っている
「本当に迷惑な存在。」
さっさと死ねば皆んなが喜ぶのになぜ生きているんだろう?
そう思う程の害悪なのに、何故あの女は彼奴と仲良くするだろう
「カイトお兄ちゃんもよくあんな女が好きになるね。」
いつも寝ていて、カイトお兄ちゃんが折角誘っても無視か断るしかしない女
カイトお兄ちゃんと幼馴染みと言う最もステータスが高い女性
他にもあのメイドともう1人とも幼馴染みらしいが、何故かカイトお兄ちゃんの側にいないであの#屑__クズ__#にいる
「でもまぁ関係ないか。」
彼奴は消えた、これでカイトお兄ちゃんを家に誘う事が出来る
普段はあの#塵__ゴミ__#がいるから誘う事が出来なかったが、これでカイトお兄ちゃんを誘うことが出来る
「料理は…まぁあの社会の底辺でも作れたんだし、私達でも余裕でしょ。」
マクラレン家の恥でもあのクソ不味い飯を堂々と出したんだ、私達が作ればカイトお兄ちゃんは心の底から喜ぶ筈
「そうと決まれば、私もお泊まりの準備しなきゃ♪」
そう言ってアイは2階に上がり荷物の準備を始める
アイがそんな事をしていると、コトッ…と音が聞こえ、振り向くとそこには
「…うわ、まだ持ってたんだ、気持ち悪い。」
エイトが幼き頃、アイに誕生日プレゼントととして渡したネックレスだった
1か月前まではそれを肌身離さず持っていたが今は穢れた物を触れたら自分まで穢れてしまうとわかったので捨てた筈だった
「きっと触りたくないから適当に投げたから、そこにあったのね。」
でもそこにあると分かると見られている様で嫌なので我慢して捨てる
「後で手を洗えば良いか。」ヒョイ
何故か嫌悪感はあるのに拒絶はなかった、そのままゴミ箱に投げ捨てようとすると…
「…え?」ピタ
体が固まり、ネックレスが捨てられない
まるで体が"捨ててはいけない"と言わんばかりに腕が止まる
「…っ……この!!!!」ドゴっ!
無理矢理体を動かしてゴミ箱にネックレスを投げ捨てる
「…ふう。」
そうしてやっとクソ野郎の#塵__ゴミ__#を捨てる事が出来たのだが、服を鞄の中に入れていると…
「………え?」ぽろ
服に滲みがついているのかと思ったが、自分の涙だと気づいた
そして何故かネックレスを捨てた事にとても後悔している
「…私やっぱり病気かな?」
それが何故なのか
それがなんの感情なのか
そして
それに気づく頃には
あまりにも遅すぎた
——————————————————————
続く
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