他国の王妃達は興味を持つ

 むせ返るような香水の匂い。笑いさざめく声。せっかくのお茶の香りが香水と混ざり合いよくわからない。なんとなくこういう集まりでは気後れをしてしまい、静かになる私だった。


 おかしいものね……策を実行してる時は気後れどころか攻撃的ですらあるのに。


 壁の傍でそっと佇み、会話を聞くのみに徹しよう。テーブルから離れようとすると声をかけられた。


「あら?初めてお会いしますわね」


「どちらの国の方かしら?」


 しかし女性たちは新しいものが好き。私は目をつけられてしまったようだ。


「ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。エイルシア王国の王妃でリアンと申します」


 私はドレスの裾を持ち、挨拶をした。その瞬間だった。


「あなたがウィルバート様の!?」


「あのウィルバート様が、一人しか妻にしないとおっしゃってるのは本当ですの?」


「羨ましいですわぁ。ウィルバート様と言えば、美しい姿に勇敢な心を持ち、コンラッド様と並ぶとまるでそこは花が咲いてるようですのよ」


「華やかですわよね!いつまでも見ていられますわぁ」


 しばらく私はフリーズしていた。


 な、なに!?ウィルバートってモテるの!?こんなに!?


「ウィルバート様がエイルシア王となり、コンラッド様がユクドール王となり、二人で並んでいるお姿、さぞ凛々しく素敵でしょうね」


 キャアキャアと高い声がおこる。……今更だけど、これだけキャアキャア他国の女性達に言われるウィルはなぜ私を選んだのだろう?どう考えても女性としての魅力は私は少ないと思うのよね。


 落ち着いた年配の妃たちが少し静かにしてくださらないと声をかけてきて、ピタリと終わった……と思ったのに、私をジロジロ見て、尋ねてきた。


「お国ではどんな身分ですの?公爵令嬢?それとも伯爵家?」


「クラーク男爵家ですわ」


 サラッと私が答えるとざわめいた。


「その身分で……エイルシア王は生涯一人だけと?」


「えっ?ええ……そうですわ」


 男爵ですって。商人って噂もありましてよとヒソヒソ話が始まった。


 後宮の王妃候補達が集まった時以来に大変な所に私はいるのかもしれないと気付いたのだった。

  

 これはストレスが溜まるわ。注目を浴びてる視線に私は胃が痛くなりそうだった。ウィルバート……モテるならモテると一言私に教えてくれておいても良かったのにと思うのだった。

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