第12話 ライセンスカードを作ってもらおう!
ギルドに到着すると結構な数の冒険者達がそこにはいた。
「賑わってるんすね」
「クエストを受けるだけじゃなくてメシも食えたり二階に行けば宿泊も出来るし、レア物はないけど武具とかアイテムもここで一通りは揃うしな」
俺達は奥にある半円状になっているカウンターへ歩いていく。
右側の方にいる昔からの馴染みの鑑定士さんと目が合う。
「コールちゃんじゃない? どうしたのだわさ? 冒険者になることにしただわさ?」
「違いますよ。この人が今日転生してきちゃったんですけど過去に同じ様に転生してきた人っていたりします?」
「珍しいわね。私は直接会ったことはないけど昔に転生者がギルドにいたって記録結構残ってるだわさ」
やっぱりいることにはいるのか。
「その人は元の世界に戻れたとかわかります?」
「うーん、そこまではわからないだわさ。転生者さんはどこから来ただわさ?」
「ニホンのチバっすね」
「んーと、前の人はニホンのトウキョウってところから来たらしいだわさ」
「近いっすね。隣のケンっす」
「みひひ、隣のケンっておもろいな」
「ライリルちゃんもいたのね。見えなかっただわさ」
「チビって言うな!!!!」
言ってない言ってない。
「転生者の人はこちらの世界で身分がないと生活が大変になっちゃうからギルド登録するのをオススメするけどどうしますだわさ?」
「ギルド登録すると何かいいことあるんすか?」
セラが胸元をゴソゴソと探り何かを取り出した。
「私も一応持ってるんだけどギルド登録すると、このライセンスカードが発行されるのよ。これがあると病院に行った時の身分証明書にもなるし他の街に入るときにも使えるわ」
「何かメンキョショウみたいな形っすね。この下にある2とか3とか分かれてるのは何なんすか?」
「使える魔法のレベルみたいなものね。裏には自分が使えるスキルが載ってるのよ」
「へー色々書いてあるっすね。あれ? 一つ掠れて読めないのあるっすけど?」
「あぁ……これは気にしなくていいわ。あんまり使わないやつだしね」
「ゆっゆゆーん!! 私も持ってるぞ! 見ろ!!」
ライリルが自分のライセンスカードをハナに押し付ける。
「……魔法のところ大半なしって書いてあるっすね……裏……猫化しか書いてないっす」
「全員が全員凄い能力持ってるって事はないんだよ……」
残念だが俺もライリルと似たようなもんだし。
「コッコはライセンスカード持ってないんすか?」
「俺の場合はギルドじゃなくて商工会の発行してるライセンスカードだな。魔法とかスキルの項目は一切載ってないやつ。店を出す人はこっちを発行してもらうんだ」
「ミルミルはどうなんすか?」
「面倒くさいから作ってない」
「ミールちゃんは魔法もスキルも1級品だから勿体無いだわさ」
鑑定士さんお墨付きのミールであるがやはりここでも面倒くさがりの性格が災いしているらしい。
「じゃあ私もライセンスカード作るっす」
「それじゃあまずこの紙に名前と住所とか書いてね。住所はコールくんのお店ので大丈夫だわさ」
「わかったっす」
ハナが紙に色々書き始めた。
俺が気になるのは下の方にあるスリーサイズ記入欄だ。
オーエルの服装は結構ピッチリしているので身体のラインがよく見える。
胸だけ見るとハナはセラの大きさを簡単に超えているはずだ。
チラチラと覗いていると何かを察したセラが俺の頭に一撃を食らわしてきた。
「どうしてわかった!」
「何も言ってないわよ!」
「書けるところは書けたっす。お店の場所は書いてほしいっす。文字は読めませんけどシヤクショのショルイと似てるんで普通に書けたっすね」
「はいっと……これで大丈夫ですか?」
「はいはい、うん、大丈夫だわさ。後は魔法とスキルの鑑定だわさ。転生者の方の鑑定なんて初めてだからワクワクするわだわさ! それじゃあ右手を出してもらっていいだわさ?」
「どうぞっす」
ハナが右手を前に出すと鑑定士さんが左手でその手を握る。
目を瞑り何かを詠唱し始めると右手に持っているペンで紙に魔法やスキルなどを書いていく。
………………………………………いや、長くね?
どう考えても長過ぎる普通、1分以内に終わるはずじゃないの?
もう10分くらい紙に色々書いてるっていうか書くことが多すぎてはみ出てカウンターに文字書いてるけど大丈夫なのかこれ。
「これは……逸材だわさ!!! これだわさ!」
「「「「「はぁ!?!?!?!」」」」」
書かれている内容を見てハナを除く俺たち全員は驚愕した。
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