【第三章】危ないものは片付けとけ!転生者出てくるだろ!
第10話 ディスプレイケースは商売の要!
「店前のディスプレイケースがあまりにも貧弱すぎるわ! 商売なめてんの!」
「セラさんよ。今更なお話だよ。自慢じゃないがカウンター横にあるヤツだってスカッスカもスカスカだぞ」
「自慢することじゃないでしょ! 店長なんだからなんとかしなさいよ!」
何とかしなさいよと言われましてもねぇ。
店前のディスプレイケースが充実してれば外から店を眺めてるお客さんが入ってくる可能性が上がるのも重々承知だし。
店内のケースにも高価な商品がズラリと入っていれば奥まで来てくれて店内にも良い商品があるかもと購買意欲を掻き立ててくれる。
「普段は売れないレベルで高価な物を入れるのが販売戦略なのはわかるが、売りに来る人が多いわけでもないしな。普通の店で売ってる高価な品物入れといても効果薄いし」
「アイス入れよう!! 美味しいし!」
ライリル、お前は黙っとけ。
「生肉置いておこう」
ミール、この店はいつから精肉店になったんだ?
「見栄えが悪いのは確かだよな。しょうがない、その場しのぎだけどカウンターの後ろにある物でも置いといてみるか?」
「カウンターの後ろって……その昔からある大きいそれぐらいしかないじゃない」
店のカウンターの後ろには昔から謎のクリスタルが置いてある。
「ジイさんが生きてた頃は毎朝磨いてたんだぞ? 昔、骨董市で一目惚れして買ってきたんだってさ」
そういや、買ってきた日にバアさんに「また余計な物増やしやがってきぇぇぇぇぇい!」と手刀で割られかけたとか言ってたな。
スキルで見ると680ギークの価値しかないらしい。
じいさんが騙されて買ってきたクリスタルの紛い物かなにかだろう。
別にディスプレイに移動しても問題はないだろうな。
昔にじいさんに「〜はしちゃいかんぞ」と言われた気もするが俺が遊んで割らないようにする口実か何かだろう。
「よっと、やっぱり結構重いな」
「何か紙が落ちてきたぞー」
クリスタルの下に貼り付いていたらしい折り畳まった紙をライリルが拾い広げ始めた。
「鑑定書か何かじゃないか? ちょっと読んでみてくれ」
「読むぞー! 『ココトハチガウセカイニオイテシスルモノニイマイチドテンケイヲアタエル。ココニショウカンサレヨとクリスタルを手に持ちながら絶対に他の人に読ませないでください。転生者が召喚されてしまいます』だって!」
「ピンポイントすぎるだろ!!!! ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
「ちょっと大丈夫なのこれ?」
「おぉ! 光ったぞー!」
「明るい」
俺の手に持っていたクリスタルから目が開けられないぐらいのまばゆい光が放たれる。
「ライリル! 余計なことしやがって!」
「コールが読めって言ったんだろ! 人のせいにするなばーかばーか!!」
そうだった! 俺のアホウ!!
視界が光で包まれていく。
「もうダメだー!!!!!」
その時、光が急に収まり、クリスタルが粉々に砕けていった。
「一体何だったのよ」
「わからん……って誰だこいつ!!!」
見たこともない洋服を着た女が床にうつ伏せに倒れている。
「うぅ……ブラック企業……はんた……い……っす……」
また何か厄介なことが起こるぞこれ!
俺の脳が直感的にそう叫んでいた。
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