第11話 大根のべっこう煮になってしまった。

 甘さと辛さの入り混じった香りが漂ってきて、文字通り俺の全身を刺激してきている。


 あぁ、そうだ。俺は、大根のべっこう煮になったんだ。


 「君ってどっちつかずなんだね」って言われたこともあったけど、甘くても辛くても、どっちがあってもいいじゃないか。

 俺ってこんなに輝けたんだ!

 俺は、大根のべっこう煮になるために大根に転生したんだな。

 人に食べられるって、こんなにも素晴らしいことだったのか。


 大根のべっこう煮最高ー!


 こうして俺は、一日で食べ切られたのだった。

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