第44話

今回のイベント、騎士団の説明によると


ゴブリンの群れが発生し、それがありえないペースで増加した。

そしてその中で複数進化した個体が発生、連携を取りだした。

その結果、群れが群れを呼びとんでもない規模になり、行商などが護衛をつけても街の行き来ができなくなったため、流通が滞った。


なので討伐しようと騎士団が動くことになったが、如何せん数が多い。そのため手伝いを募った。


という流れらしい。

へー!そうなんだ!と聞いてたけど、どうやらどこかに説明されていたらしい。


戦闘したければ前にいけ、という至極単純な感じでいいと思うよ、とツインズに言われたので、そんなもんなのか〜じゃあどうする?と。

とりあえず1回前出てみよっか?と言えば、いいの?と返事が。



「え?だって戦いたいんでしょ?」


『そりゃあまぁ』


「1人だとあれだけど、レイちゃんライちゃんいるなら行くよー」



なので準備運動を念入りに。

一応ね、素早く動く必要性もあるかもだしね。

と言っても、わたしは魔法だから近接では無いし、今回はツインズの戦闘補助かな〜。


補助…補助かぁ…。

なんか能力底上げする魔法的なのあるのかな?

RPGだとそういうのあった気がするけど…。



「そろそろ開始みたい」



周りの人の声に顔を上げたらリオン団長が先頭にいて手を挙げている。

なんともまぁ…様になるなぁ。馬に乗ってるけど、馬も普通の馬じゃないな?なんか…でかい。

そりゃリオン団長乗せるくらいだから普通より大きいか。



『皆の者!いくぞ!』



ぉおおおおお!という地鳴りのような雄叫びに、面食らってる間に周りは一斉にスタート。

びっくりしちゃったよね。

レイちゃんとライちゃんはそれをわかってたような感じで待ってくれてる。

姉をよく理解してるね!



「ごめんごめん」


「いこう、あっちが人が少ない」


「とりあえずどう戦う?」


「安全第一!土で足止めしていくからトドメ頼んだ!」



まずは、ゴブリンが5匹ほどまとまってる所をぬかるみに。

おぉ、戸惑ってるね〜。

ギャーギャーと慌ててる間に、ツインズがペペっと。



「わあ!倒せたー!」


『めっちゃ楽』



よし次いこー!と、いろいろ実戦にて経験値稼ぎ中。

普通のゴブリンはぬかるみでパニックになるけど、ちょっと強いやつはぬかるみと普通の土の境目まであっという間に逃げちゃう。

なのでそれはコレ。檻。



「つーかまーえーた!」



あ、やばいツインズあっちにいる。

ならば自分でやるまでよ!ということで、周りに人もいるから、氷でGO!



「やるじゃんお嬢ちゃん!」


「オパールさ、…つっよ」



ナックルみたいなやつかな?鉤爪ついてるっぽい?あ、もしや自前の爪かな。

それでバッサーと斬りながら蹴り飛ばしながら、さすがネコ科!しなやか!


ルーさんはボーガン?みたいなもので中距離から攻撃してるけど、近くに来たやつは問答無用で足蹴にしてる。

しかもなんかあのボーガンから放たれてる矢が魔法まとってるように見えるんだよな〜。

どうなってるんだろ、今度聞いてみようかな。


で、団長ですよ。

日本刀持ってるのよ。しかも2本。めちゃくちゃ似合う。

なんかもう空気がすごい。

ピリッとしててあそこだけ空気が違う。

動いたらもう終わりっていう感じがする。



「みんなつよい」


『大丈夫、負けてない』



え?ほんと?じゃあ頑張ろっかな!

とは、ならないよね!

アラサーですのでね、安全第一で怪我なく進みたい。

ゲームだからポーションで治るのわかってるけど、現実世界だと治癒にどんだけの月日を費やすことになるのかって!!



「キリがない!」


「ちょっと撹乱しよう」


「どうやってー?」


『好きなゴーレム大放出』


「よしきた!!」



なんだなんだ?なにすんだあいつら、みたいなプレイヤーの視線があるけども、気にせず行こうぜ!



「ぬかるみドーン!からのー!?いでよ!ミニチュアファミリー!」


『え?』



え?

え?なに?周りのプレイヤーが混乱している。なんかごめん。

ファミリーの名に恥じぬようファミリーで登場。

ニコニコお花畑がとっても似合いそうでしょ?なめたらあかんでー!




「ゴブリン撹乱してきて!」


『おー…走ってったなぁ』



走っていった方で、うおっ!?とかなになになに!?とか、かっわい…いやこわ!?!?とか混乱が混乱を招く声が聞こえてるけど…敵味方関係なく撹乱してしまった。

これは…やっちまったなぁ!!ははは!



「お嬢ちゃんやるぅ!」


「やってくれましたねー」


「好機…、か?今のうちにぶちのめせ」



あ、よかった。

団長達に怒られないなら!

そろそろ赤ポーション飲んどいて、あら、ファミリーやられた?


あ、集まってみんなでお辞儀して消えたのか。

なんか喪失感がー!戻ってきてー!と叫んでる声が聞こえるけど…。悪いことしたかな。


というかゴーレム?泥人形?どうなるとやられたことになるんだろう?

そこ検証し忘れたなー。

今度調べなきゃ。


うん…たのしい!!



「あの一際でかい個体を叩け!」



団長の声に顔をあげれば、大きさバグったの?て言うくらいの存在感。

ええ…メタモルフォーゼ…?

わぁプレイヤーぶん投げられてるよ!?


ええと、とりあえずぬかるみにしてすぐ戻したら時間稼げるかな…

お、あー、だめだったー。

ちょっとだけ、あ?て顔したけど何のそのだよ!

パワー負けするよね。


さすがにツインズもあれはなぁ…と、近くの個体をバッサバッサと。



「ねー、レイちゃんライちゃん、投石で目を狙ったりできないかな」



氷の矢で手当たり次第にゴブリン狙いつつ、あのでかいヤツとの距離を測ってたんだけど、わたし届く範囲まで来たんだよねぇ…あのでかいヤツ。

じゃあ誰が正確に目を狙えるか勝負なって言われたので、3人並んでせーので石をぶん投げ!



「あー、目外した」


『眉間にあててるけどな』



ツインズはちゃっかり目にヒットさせてたよ。

そして怒ったね!!

さすがにそりゃあ怒るよね!?

いま見えてない間に逃走中。


走りながら弱点って何処なんだろうね?ときいたけど、人間と同じようなところが急所、という訳でもないらしい。



「たぶんジワジワ体力削れてると思うんだけど」


「あ〜」



ドッゴォン!と、とてつもなくでかい音に振り返れば煙。

ええなに爆発!?倒した!?と思いきや、まだゆらりと動く影にしぶと過ぎない?と3人でため息。

そして肝心の爆発を起こしたのは



「エヌさん!?」


「そんなとこにいたのか」



むしろ貴方こちら側に参加してたんですか!

そんな話聞いてなかった。

いや参加するんですか?とも聞かなかったけども。


そしてその他にも何やら魔法使いっぽい人がチラホラと…?



「魔法騎士団も到着した!たたみかけろ!」



え?なんかエヌさんってやっぱりすごい人だった??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る