あなたがすきっ!(な、元カナブンですけど)【本編完結済】
小林勤務
プロローグ はじまるけど、なにか?
第1話 プロローグ【わたしの物語】
強い衝撃におそわれたあと、はっと目が覚めた。
いつも、わたしは空を見上げていた。
灼熱の太陽が降り注ぐなか、ぐったりしながら仰向けになっている。
じたばたと手足を動かしてみても無駄だった。
ああ、このままこうして一生、空でも見ながらこの場所にいるのかな。
そう思うと、なんだかとても寂しく、とても嬉しく思えた。
わたしの好きな空と一体になってる。
そんなふうに感じたからだ。
でも、それはまやかし。
わかっていた。でも、あえてわからないふりをしていた。
もう、このままここから抜け出すことなんて出来ない。
ずっと、同じ場所で同じ景色を見ている。
そんな寂しい自分への、せめてもの神様からの贈り物。
それが、今わたしが見ている青い空なんだ。
そんな感傷に浸っていると、目の前に大きな影が覆いかぶさってきた。
ちょいちょいちょいちょい、
やめやめやめやめ。
じたばた抵抗をして目を閉じると、ふと体が軽くなっているように感じた。
気が付くと、わたしは自由になっていた。
どこにでも行けるし、なんにでもなれるし。
そんな希望に満ちた光が身体の内から溢れてくる。
わたしを救ってくれた、大きな影は何度でも現れた。
晴れの日も、風の日も、嵐の日だって。
いつも、わたしの前に現れて、わたしに羽を与えてくれた。
なんだろう、この気持ちは。
この胸の高鳴りは。
この気持ちは何て呼べばいいんだろう。
誰もわたしに教えてくれないし、教えてもらったところで、きっとよくわからないだろう。
いつからか、こう思ってしまった。
会いに行ってみようかな。
どんな感じなのかな。
いい感じだったら、色々してあげよっかな。
嫌な感じだったら。
まあ、その時はその時だね。
その言葉だけ。
本当にただそれだけ。
会ってどうするのって言われても困っちゃうな。
だって、基本的にノープランだし。
…………
でもさ。
いざ会ったら、そんなに揉むかね。
右も。
左も。
笑っちゃうぐらい。
三人ともさ。
…………
社会人ラブコメ
「あなたがすきっ!(……な、元カナブンですけど)」
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