第9話 喫茶店を始める前に その1

高校の頃から、長期の休みに祖父の経営する喫茶店を手伝っていた。

祖父もまだまだ現役で、孫可愛さからか、コーヒーの淹れ方から調理まで一通り教えてくれた。


大学時代は、在学中に起業したこともあり、偶に様子を見に行く位になってしまった。


起業した会社は、一人で気楽に経営していて利益が出始めた時に企業買収の話があり、丁度行き詰まりを感じていたタイミングだったことから売却した。

最初の買収条件提示は数百万円だったものの、直前の決算で月間数百万円の粗利を出していたことから、最終的には億近くの売却価格になった。


売却交渉に立ち会ってくれた大学先輩の税理士と会計士には今でも感謝している。

逆にこのお二人は、駆け出しの苦しい時期だった事もあり、この時の手数料で助かったと感謝された。

売却事業内容は、時間を掛ければ同等のシステムを作れるものの、今着いている顧客の価値が高かったのが良い結果を生んだんだと思う。


売却で得た資金で、在学中にもう一度、起業した。

前回とは全く違う業種で、同級生の親友と当時付き合っていた彼女との3人で始めた。

軌道に乗った頃、よくある話で、親友と彼女に裏切られて私を排除しようとした為、以前お世話になった会計士とその先輩の弁護士のお力を借りた。

秘密裏に事業売却まで持っていき、彼らには何も残らないように進めた。

私が株式の90パーセントを持っていたからこそ出来たことだった。

彼らは一体、何をしたかったのだろう。変な事を考えなければ、普通のサラリーマンの数倍の役員報酬が約束されていたのにのね。


そんな時、祖父から、喫茶店を休業するかもと連絡がきたのだった。


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