第6話野生の証明
これはあまり知られていない事だけど、プードルは猟犬用に作られた。
貴族が猟に出掛けるときお供して、撃ち落とした鴨を泳いで取りに行くとか、狐や兎を追いかけるのが役割だった。
同じプードルの仲間でもトイプードルは猟犬の片鱗もあれへん。
でも、スタンダードプードルにはまだ闘争心が残っとる。
飼い主に対して実に忠実ですわ。
パパさんと散歩してるとき向こうからヤバそうな人が歩いてきた。
目を合わせないようスーッと通り過ごそうとしてた。
その男、目に何か入ったのか手を振り払った。
パパさんその時、避けるようにのけぞった。
おいら、パパさんの一大事とばかりその男に飛びかかってしもた。
よーく見るとその男、島木譲二やった。
パパさんえらい謝ってた。おいら悪いことしたかな。
最近の猫は実に生意気や。
昔は犬が来ると避けるなり逃げるなりしたものやけど、今は恐れもせんとニャーニャーしてる。気の強い猫は身体を逆Uの字にして毛を逆立たして威嚇する。
犬が弱くなったのかもしれんな。
やはり犬界と猫界の秩序は教えんといかん。
正義感に燃えたおいらはリードをブチ切って小生意気な猫を追っかけた。
コーナーに追い詰め首根っこを捕まえパパさんに持っていったら、パパさん焦っておいらの口を開けさせ猫を逃がしたよ。その時パパさん腕を引っ掻かれてた。
おいら悪いことしたかな。
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