幼馴染が恋をしたので背中を押そうと思う。

第一話 こうして片思いは終わる

俺の高校には二年になるとクラス替えが行われる。

それは今年も例外ではなく俺の学年もクラス替えが行われた。

今日は新学期が始まる日でありそのクラス発表の日でもある。

「頼む、頼む」

と小声でつぶやきながら俺の名前ともう一人の名前を探していた。

「あった!」俺の名前織田健とそのすぐ下にはもう一人の名前が記されていた。

「ヨシ!」と喜んでいると

「名簿番号私の前なのね。あと二年よろしく。」

長い髪で横顔が見えないが俺に話しかけてきた女子を当てることができた。

金沢琴乃

成績優秀、容姿端麗で俺の幼馴染であり初恋の相手でもある。ちなみに現在進行形だ。去年は違うクラスだったが今年は同じクラスだ。

「よう、琴乃あと二年よろしく。俺と同じクラスになってうれしいか?」

と冗談っぽく聞いてみた。

「うーんそうね、例えるならお菓子の付録カードがレアカードだった時くらいの喜びかしら。」

「・・・なにそのジョセフ・ジョースターもびっくりするくらいわからない例え。」

「健の例えツッコミもわかりにくいわね。」

「・・・・まあこの年齢のお菓子のレアカードを引いても朝の星座占いが良かった時と同じ心境になるよな。」

「ええ。子供がレアカード引いたら喜びそうだけど・・」

「その割に子供が見ないようなアニメでもあの付録カードのお菓子やるよな。そのくせレアカードのデザインがイマイチだったりするし。俺レアカード出て子供と同じテンションになった大人見たことない。」

「そうね。わたしも見たことないわ。」

「で・・そのお菓子を買ったのは子供かそれとも大人か?」

この問いに琴乃はいたずらな笑みを浮かべながら答えた。

「言わないでおくわ。健を傷つけちゃいそう。」

「今のでもう俺はもう傷ついたよ。」

「冗談よ。頼りにしてる。」

不意に男子が嬉しくなるようなことを言われ俺は少し恥ずかしくなってしまい

「べ、別に頼られたって嬉しくないんだからね。」

と高音でいかにもツンデレ女子風に答えてしまった。俺の悪癖がちゃんと発動した。俺は褒められたりすると恥ずかしくなってしまいつい三十五点のボケをいれてしまう。ツンデレならぬボケデレである。しかも

「はいはい。そんなことより今日の夜空けておいてほしいのだけど?」

とこんな感じでぞんざいな扱いになるのが日常だ。まあそんなことはおいといて・・

「なにかあるのか?」

「進級祝いでちょっとしたパーティーしたいって母さんが。」

「琴乃の家でいいか?」

「ええ。それと買い出ししたいから手伝ってほしいの。」

「おお、わかった。一回帰って着替えてから行くがいいか?」

「ええ。待っているわ。」

琴乃の家と俺の家は近く昔からお互いの家を出入りしていた。

こんなパーティーもよく行われておりこんなことは日常茶飯事だ。

しかし一緒に買い出しをするのは初めてのことだった。

そんなめったなことのないイベントに少しテンションが上がりながら放課後を迎え速足で家に向かい着替え琴乃の家に向かった。

「すまん。待ったか?」

「私もちょうど準備が終わったところよ。ではいきましょう。」

こうして俺たちは進級祝いパーティーの買い出しを始めた。



「これでぜんぶか?」

「ええ。健がいてくれて助かったわ。それのお礼というわけではないけど」

琴乃が指さした先には自動販売機と公園があった。

「それじゃあお言葉に甘えて。」

「紅茶でいい?」

「ああ。ありがとう。」

俺と琴乃はベンチに座って休憩することにした。すると琴乃から

「健に少し話があるのだけど・・・」

琴乃からこのような話を持ち掛けられるのは珍しい。

普段はそんな相談をされることはない。琴乃は優秀だから大体は自分でなんとかできるしいじめやそういった人間関係の噂も聞いたことがない。

まさか告白か。確かに琴乃はかわいいが男のうわさも聞いたことがない。

そして琴乃と一番距離が近いのは間違いなく俺だ。

これはきた。

ついにだ。

琴乃と知り合ってから十n

「私好きな人ができた。」

「え」

こうして俺の長い長い片思いは終わった。

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