異世界旅行は命がけですがよろしいですか?―バウガルドの酒場冒険譚

永礼 経

プロローグ『バウガルドの酒場』

 

 西暦2032年。

 

 ある一人の日本人ボードゲーム開発者が画期的なシステムを使ったボードゲームを発表した。


『バウガルドの酒場』。


 このゲームのプレイヤーはその酒場へ転移させられる。それはこことは違う別の世界にある酒場だ。


 その世界とはバウガルド――。


 魔物が跋扈し、亜人種族が数十種類もいるという、その世界。ただしこの世界へ行くためには、ボードゲームカフェ全国チェーン「ダイシイ」を訪れなくてはならなかった。


 今日もこの世界を訪れるために「冒険者」たちはボドゲカフェ「ダイシイ」に足を運ぶ。


 システムに管理された退屈な日常と完全に遮断された、力と知恵がすべてを決する世界への冒険は、この時代の人々にとって非日常を味わえる数少ない最高のエンターテイメントだった。




 ――さて今日の「冒険者」たちは全員無事に帰還できるのだろうか?

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