4 初戦闘
俺は一体の植物系の魔物と対峙していた。名前はわからないが、ずんぐりとした木の実を魔物化したようなビシュアルなのでコロンと仮に呼んでいる。
「よし。喰らえコロン! 【ライトニング・スフィア】!」
「グェェー!」
槍の形をした雷の奔流がかざした右手の少し先からコロンめがけて放たれる。消費魔力は5。これで三匹目の討伐だ。
「どうだ? 上がったか?」
俺は戦闘を終えると、コロンの亡骸が消えて残ったドロップアイテムを回収するよりも先にステータスを確認した。
【名 前】ユーイチ・フォン・シルヴァーナ
【種 族】ハーフリンク
【性 別】オス
【年 齢】12歳
【職 業】ツリーマスター
【レベル】8
【体 力】24/24
【魔 力】7/24
【攻撃力】8
【防御力】8
【知 力】8
【精神力】8
【俊敏性】8
【幸 運】8
《スキル》
【サーチ】【見切りⅠ】
《魔法》
【隠蔽Ⅰ】【隠蔽Ⅱ】【ライトニング・スフィア】
《その他》
ツリーポイント3p
【生命の樹】
【技能の樹】
【知恵の樹】
おお。ステータスが1ずつ上がってる。予想していた通りだが、【生命の樹】を上げなくてもある程度はステータスが上がるのはデカい。ただ、レベルアップしても魔力全回復とかはないんだな。おそらく、体力魔力ともに上限の上昇値の分回復するんだろう。
さて。ドロップアイテムでも回収するか。
「鑑定ないとドロップアイテムも何かわからないんだよなー」
ドロップしたのは赤い木の実だった。これで三つ目の木の実を腰につけた袋に入れようとして、ふとあることを思いつく。
「食ってみるか」
俺はドロップアイテムの赤い木の実を食べる。少し元気が湧いたような気がしたが、それ以外は特に変化はない。ステータスを見て見る。すると魔力が3回復していることに気づいた。この木の実は魔力回復薬か。魔力は消費してから一定時間経つと自然に回復しているようだが、連戦したいときは自然回復を待ってもいられない。赤の実、貯めておくのもありだな。
「よし。次だ次。【サーチ】!」
俺は狩りに明け暮れた。
そして気がつけば日も暮れていた。
「あ! ユーイチ様! ご無事ですかぁぁー?」
遠くから声が聞こえた。男の声だ。必死さが垣間見えた。声の方を見ると、どこか抜けてそうなあの門番がいた。
「ああ、お前か。何故ここにいる?」
俺はロールプレーを演じ続ける。
「探しました。シルヴァーナ様、もう閉門の時間をとっくに過ぎております!」
「何? まだ夜は始まったばかりだぞ」
「何を仰るのですか! 夜は夜行性の魔物が現れます。それに夜はしっかりと休んで日中の疲れを癒やさなければ」
確かに疲労は蓄積していたが、レベルアップの興奮でその疲れをあまり感じずにいた。それに夜行性の魔物か。確かに危険かもな。
「忠告感謝する。では帰るとしよう」
「はい! 門までご案内します」
門番と日暮れの平原を歩く。俺がステータスを確認してほくそ笑んでいると、門番が沈黙を破り訊いてきた。
「そう言えば聞きましたか? 昨日、タンテの町にて天職の儀であの勇者が現れたらしいのです!」
「私を誰だと思っているのだ。そんなことは知っている」
「流石、お耳が早い。あの、こんな質問は失礼かと思いますが……」
「なんだ? 言ってみろ」
「シルヴァーナ様のご職業は、何でしょう?」
職業か。【ツリーマスター】ってのが答えになるが、これは隠しておいたほうが良さそうだな。答えたところで変な空気になるだけだし。今のところは雷の魔法が使えるから【雷魔法使い】か【雷魔導士】あたりが無難か?
いや、しかし。今は王族として認識されている。セシア村長曰く、王族などの身分が高い人ほど神に近いとされ、高ランクの職業につくと言う。ここは多少見栄を張るか。
「Aランクの【大魔導士】だ」
「大魔導士! 全属性を操れるという、あの! いやはや、流石です!」
「そうであろう、そうであろう」
俺はそう応えながら、ステータスを操作する。あ、そうだ。隠蔽Ⅲ(職業とレベル)を開放しないと職業は変えられないのか。まぁ、ブラフをはればこの門番には通用するだろう。実際使える者は珍しいという雷魔法を使えるのだしな。
【名 前】ユーイチ・フォン・シルヴァーナ
【種 族】ハーフリンク
【性 別】オス
【年 齢】12歳
【職 業】ツリーマスター
【レベル】11
【体 力】33/33
【魔 力】7/33
【攻撃力】11
【防御力】11
【知 力】11
【精神力】11
【俊敏性】11
【幸 運】11
《スキル》
【サーチ】【見切りⅠ】
《魔法》
【隠蔽Ⅰ】【隠蔽Ⅱ】【ライトニング・スフィア】
《その他》
ツリーポイント12p
【生命の樹】
【技能の樹】
【知恵の樹】
これでよし。家に帰ったらツリーポイントを振るぞー! 俺はウキウキワクワクしながら門番と門を目指すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます