軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~
Takahiro
幕開け
『臨時ニュースを申し上げます、臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部、四月九日午前六時発表。本九日未明、アメリカ合衆国は、帝国に対し、無条件降伏の意を通告せり。本九日未明、アメリカのマッカーサー臨時大統領は、枢軸国共同宣言を受諾し、帝国に対し無条件降伏の意を通告せり。今朝、大本営陸海軍部からこのように発表されました。
皆様、ついにこの日がやって参りました。帝国の、日本の、アジアの勝利の日であります。肇国の国是、八紘一宇は今まさに、成し遂げられんとしているのです』
厚手の外套を纏った小柄な少女が、レコードプレイヤーの電源を切った。フードの隙間から覗く髪は雪のように白く、右目は血のように赤い。微笑みながら語り始めた。
「聞いてくれたかな? 日本人なら誰でも聞いことのある録音、日本の勝利を祝うラジオ放送だ。え、聞いたことがない? それは学がないってものだよ、君。いや、まあ、知らないのも無理はないか。
ようやく、ようやくここまで辿り着いたんだ。とても長い道のりだったよ。世界はこれで随分とマシになった。大きな犠牲は必要だったが、よりよい世界に向けて一歩後退二歩前進と言ったところだね。一先ずは、ここから語るとしようか。日本がアメリカの野望を打ち負かしアジアを解放した聖戦、言わずもがな、大東亜戦争の話さ。
物語の第一部、是非最後まで聞いていってね」
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