第91話 最後は美海のために捨てられてね!

〜火口雪菜視点〜

前回のあらすじです!

 美海と絶賛お話し中です!以上です!




 私が明日、先島さんと涼風さんにリュー様の正体について聞くことを決意していると…


「ねぇねぇ!お姉ちゃん!今日の凛お兄ちゃんとのデートはどうだった!?」


 と、聞いてくる。


「ふぇっ!えーっと……た、楽しかったよ」


「おー!告白はしてないと思うけど、キスくらいはした!?」


「えぇぇぇぇ!!!!」


 と、私は『キス』という単語に驚き、大きな声を出す。


「ちょっと!お姉ちゃん!静かに!」


「あ、ご、ごめん」


(たしかに近所迷惑なくらいの声量だった。ってそうじゃなくて!)


「な、なんで告白できてないってわかってるのに、キ、キス……が出てくるの!?」


 と、汐留さんとのキスを想像してしまい、顔を赤くなる。


 そのため……


「あれ?もしかしてお姉ちゃん。『キス』って言葉だけで顔を赤くしたの!?凛お兄ちゃんとのキスシーンでも思い浮かべたのかな?」


 と、ニヤニヤしながら美海にツッコまれる。


「そ、そんなことないよ!?」


「へー!そういうことにしておいてあげる!」


「う〜!」


(妹に何も言い返せない!)


「じゃあさ!キスはできてなくても、手を繋ぐくらいはした!?」


「……………………」


「え!?デートなのに手を繋げなかったの!?」


「そ、そんなこと提案できるわけないよー!」


(そりゃ、私もデートなんだから手を繋ぐくらいはしても良いかなーって思ったよ?でも、私には難易度が高かった。もうエベレスト並みに。……エベレストを見たことはないんだけど……)


「そんなこと言ってると、凛お兄ちゃんが美海に取られちゃうよ?」


「や、やっぱり本気だったー!」


「当然!美海は去年の夏休みに凛お兄ちゃんに助けてもらったんだよ!?あの日から凛お兄ちゃんのお嫁さんになるのが夢なの!」


「うっ!そ、そんなことはさせないよ!」


「へー!まぁ、そんなことを言っていられるのも今のうちだけどねっ!来年には凛お兄ちゃんと結婚の約束をするんだから!」


「なんで、汐留さんは了承したのよ!」


「多分、“揶揄うために言われたことだから、来年には忘れるだろう”とでも思ってたんだと思うよ?」


「………うん。私もそう思うよ」


「でも、私は年齢に差がありすぎるから、まだ付き合うこともダメだと思う。だから!お姉ちゃんには頑張ってもらわないと!」


「え!?なんで!?」


「だって、お姉ちゃんと凛お兄ちゃんが付き合うと、必然的に美海と会う機会も増えると思うの!その時に猛アピールして、お姉ちゃんを捨ててもらう!」


「なかなか酷いこと考えてた!」


(純粋に応援してくれるわけじゃないんだね……。私の妹なのに……)


「でも、ホントに積極的にならないと、他の女の子に凛お兄ちゃんを取られてしまうよ!?)


「うっ!」


(その通りだよ……。美海に取られるつもりはないけど、涼風さんが転校してきてから、汐留さんの周りにはいつも女の子がいる。ホントに頑張らないと!)


「お!お姉ちゃんが燃えてきた!そのやる気のまま、頑張って凛お兄ちゃんにアタックしてね!そして最後は美海のために捨てられてね!」


「最後の一言はいらないよー!」


「えー!美海はそのためにお姉ちゃんに協力してるんだけどなぁ」


「み、美海がその気なら、私もとことん利用させてもらうよ!」


「お!じゃあ、まずはどうするの!?」


「うっ………そ、そうだね……あ!ま、まずは汐留さんにどんなラインを送った方がいいか、考えて!」


 と、私では、なかなか良い文章を考えきらなかったので、さっそく妹に頼る。


 それを聞いた妹はすごく驚いた顔で…


「えー!お姉ちゃんが凛お兄ちゃんの連絡先を持ってる!お姉ちゃんのことだから、まだゲットできてないんだろうなぁって思ってたんだけど!?」


 と、言われる。


「わ、私だってやればできる子なんだよ!?すっごく頑張ったんだよ!?」


「み、美海だってまだ交換できてないのに!」


「さっき、汐留さんに会った時にお願いすればよかったと思うのだけど?」


「う〜、その時は会えた喜びで完全に忘れてて…」


「ふふっ!それなら私が一歩リードかな!?」


「いやいや!結婚の約束をしている方がリードしてるんだよ!?」


「へー!汐留さんは本気にしてないようだったけど?」


「うっ!そ、それは……これから本気だったってことをアピールするの!」


「はいはい。そういうことにしておくよ!」


「うー!後悔しないでよ!?」


 という言葉を笑顔で聞く、雪菜であった。


※その後、汐留さんに送る文章を、二人で約1時間かけて考えました。そして、なぜか美海に汐留さんの連絡先が流出しました。

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