第7話 もう少し屍をしとこう

 屍から回復した俺はさっそくこの状況をなんとかしようと動き出すっ!ってかこれ以上は俺のメンタルがもたないっ!


「ね、ねぇ、今さそんな話は関係ない……」


 俺の名誉のため、全力で話題の方向転換を図る。


しかし…


「「ちょっと黙ってて」」


「はい」


 一瞬で除け者とされました。もう少し屍をしとこう。いや、屍をするってなに!?



 ………とりあえず正座することにしました。




〜舞視点〜

(こ、これはヤバい!誰、この女!めっちゃお兄ちゃんと仲良さそうに下校してたんだけど!しかも可愛いって何?胸も私より大きいし………)


「ねぇ、舞ちゃん。お兄ちゃんからいやらしい目で見られるのは辛いと思うんだよね。妹だからって我慢して…」


「ま、まぁ、これはお兄の妹になってしまったから仕方ないだけだし!」


「我慢は必要ないよ?たしかに男の子はいやらしい目をすることが多いよ?でもね?妹だからって全て引き受ける必要はないと思うの。だからね、その役割を少しでもいいから私が引き受けてもいいんだよ?そうすれば舞ちゃんの負担も軽くなるし……。」


 少し心配してるような話し方で涼風さんは話し出す。


(私にはわかる。この話し方をすれば譲ってくれるかもって言う話し方だ。実際、少し、ほーんの少しだけ譲ってもいいかなって思ってしまった。一生の不覚。そうやって私のお兄ちゃんと距離を縮めるつもりなんだ)


「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫です。お兄は家ではかなりいやらしい目で見てくるから涼風さんがお兄を軽蔑してしまうのではないかと心配してるんです」


「私は大丈夫だけど…」


「い、いえ!まだお兄が本気出してないだけです!た、例えば、テレビを見ながら横目で私の胸を見たり、私がお風呂に入っている間に下着の脱衣所に忍び込んで下着の匂いを嗅いだりしてるんですよ?」


 下から「そ、そんなことしてないわ!」とか聞こえてくるが無視する。


「それならホントに対策を立てないと、舞ちゃんが可愛そうだよ……。今は舞ちゃんで我慢できてるけど、いつオオカミになって近くにいる女の子を襲ってしまうかわからないし……」


「うっ!お、お兄がそうなってしまわないよう、私がしっかりと躾けます!なので、心配いりません!」


「でも、学校で私は、いやらしい目で見られたよ?ホントに大丈夫?私なら、もうすでにいやらしい目で見られたから、多少のことなら大丈夫だけど……。あ!それなら学校で私をいやらしい目で見ることができる時間を作るよ!そしたら舞ちゃんの負担が減るかも!」


(くっ、なかなか引いてくれない。なんなら涼風さんの言い分は理解できるところがすこーしだけあるからなかなか論破しづらい)


「ホントに心配してくれてありがとうございます。でもホントに大丈夫なんです!私なら襲われても大丈夫だし、むしろ襲ってほし…くはないんですけど!まぁ、これも妹の役割なのかなと思うので我慢できます!」


 下から「い、妹を襲ったりなんかせんわ!」とか聞こえてくるが、スルーする。


「うーん、でも舞ちゃんが心配だなぁ…。でも今も下に座って私達の脚を見たり、パンツ見ようとしてるんですよ?あ!そうだ!このまま家に帰すのは舞ちゃんが危ないと思うので、今から汐留くんと一緒にどこか遊びに行くよ!」


 下から「い、いや、見たくてみてるとか、そんな変態じゃないよ!見えてしまうだけで…」とか聞こえてくるが無視する。


(………いや、見てるのは否定しないんだ。私だけを見るならいいけど、涼風さんのも見ようとしてるので後でお仕置きが必要だね)


 と、思い、とりあえず蹴りを入れる。「痛えよ、舞!」とか聞こえてくるが無視する。


「そ、それこそ、涼風さんが危ないですよ!お兄のことだから密室になれるカラオケとか誘って襲うつもりですよ!」


 下から「お兄ちゃんはそんな変態じゃないぞ!?」と、言ってるが、涼風さんのことをいやらしい目で見たらしいので、説得力がない。よって無視する。


「今から涼風さんとお兄が一緒に帰ると、涼風さんが危ないので、不本意ではありますが、私がお兄と一緒に帰ります!なので、涼風さんは家に帰っていいですよ?」


「私は汐留くんに襲う勇気はないと思ってるけどなぁ」


「い、いや!まだ、お兄が本性を現してないだけです!家だといつも私が脱衣所やリビングで着替えている最中に覗いてくるんですよ?ま、まぁ妹なのでそれくらいは見られても平気、というかもっと見てほし…くはないけど!と、とりあえず今日は帰ったほうがいいです!」


 下から「い、いや、た、確かに舞が着替えているのを知らずに何回か見てしまったことはあるけど、決してわざとじゃないんだ!」とか聞こえてくるが無視する。


 というより、その発言はなんの弁解にもならない。そんなこと言うから涼風さんから何回も蹴られてるし。


(べ、別に私を意識してもらうためにわざとリビングや脱衣所で着替えてるとかじゃないからねっ!ってなんで私言い訳してるの!)


 そんなことを思いながら


(とりあえず今、やらないといけないことは、涼風さんと言う魔性の女からお兄ちゃんを守ること!絶対私が守ってみせるよ!私のお兄ちゃん!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る