【長編】魔法使いの孫と終焉戦争-ラグナロク-【連載中】
椰子カナタ
第一部:終焉りの再誕り
Chapter1 鬼の少年
第一部:プロローグ
町外れの廃工場は、その存在が廃れて久しい。
トタンの壁は剥がれ、外から屋内を覗けるほどまで古びてしまっている。無人の工場内は、今では町の不良たちの溜まり場となっていた。
今日も建物内には数人の若者の姿があった。彼らは『
そのボス、
――潮時か。
「吉田!」
ボロボロの鉄扉が大きな音を立てて開く。
轟棋の右腕である
「に、逃げ――ぐはっ!!」
健司が宙を舞って倒れる。
程なくして、扉を潜ってきたのは一人の少年だった。髪を整髪料で固めた長身。学ランに身を包んだ姿は普通の学生のようだが、しかし彼の登場にこの場の全員が息を呑んだ。
「てめぇらか? ウチのもんに手ぇ出してくれたのは」
少年が口を開く。
「済まねぇが、身の程をわきまえねぇ奴らには灸を据えなきゃならねぇ。――覚悟は、できてんだろうな?」
少年の後に続き、強面の男たちがなだれ込んでくる。
轟棋たちにはもう、逃げ場はない。
何故こうなった。轟棋の脳裏をそんな思いがかすめる。今考えても詮なきことではある。だが、そう考えずにはいられない。
「往生しな」
この日、彼らの目の前には鬼がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます