私は1年後の未来を知っている―ただそれは私だけでは無かった―
俣彦
第1話来るはずの無い
前提条件:もし徳川家康がここから1年の動きを知っていたら。
徳川家康「私は今、会津に向かっている。目的は上杉景勝を討伐するためである。しかし本来の目的はそこでは無い。京でいくさを行う事である。そのためには私が京に居てはならないし、私に近い者も居てはならない。私の事が憎くて憎くて仕方の無い連中が立ち上がりやすい環境を整備しなければならない。そのためにはそれ相応の理由が必要である。それが今回の会津出兵である。
ただそれも私戦ではいけない。太閤殿下の遺命により禁止されている。あくまで私が正義でなければならない。その種はある。景勝の旧領越後である。あそこには上杉の息の掛かった者が多数残っている。それに加え景勝が会津へと去る前に越後の稲の全てが刈り取り持って行ってしまった。その事を今の越後領主である堀秀治は恨んでいる。そんな中、勃発した越後の一揆。
『この一揆を扇動したのは(上杉景勝の筆頭家老である)直江兼続である!!』
との秀治の訴えを私は容れ、最近の会津領内における不穏な動きも併せ景勝に質問状を投げ掛けた所。
……あいつは挑戦状を叩きつけてきおった。
『食い付いた!!』
と内心小躍りしながらも、そこはぐっと堪え
『困った事態になりました。』
と秀頼様に言上。そこで上杉景勝の討伐並びに出兵に掛かる費用は豊臣家から出る事。更には賊将を退治するべく、数多の豊臣家臣の参戦が決定。選抜されたのは勿論、私の側に立つ者ばかり。そう。奴らが兵を起こし易くするためである。いくさの場所は会津では無い……。
それに最近、妙に頭が冴えるのか。ここから1年の動きが手に取るように見えておる。
『小山に着いた所で三成が挙兵して、そこで会議。反転交戦に決し、途中。秀忠が足止めを喰らうも小早川が松尾山に陣取った事も手伝い見事勝利。』
と……。あとはそこまでの過程を一直線に突き進むだけ。
(あまりにも出来過ぎた話のように思えてならないが。)
まぁまずは嫌がらせに嫌がらせをして来た石田三成が挙兵をするのを待つばかり。あまり早く(会津の手前の)下野に着いてしまうと、
『さあいくさだ!!』
となっては困るので、ゆっくり進む事にしようか……。」
そんなある日。
本多忠勝「殿」
徳川家康「どうした!?」
本多忠勝「大谷吉継が到着しました。」
徳川家康「吉継が何故?」
史実では大谷吉継は、関ヶ原で石田三成との友情に殉じた人物。
本多忠勝「いえ。彼も今回参戦する事になっていますよ。」
会津に向かう途中、石田三成に止められた人物。
徳川家康「……何かが違うぞ……。」
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