【#文披31題_2023】

長月瓦礫

#文披31題 前日譚


あれは学校近くの浜辺で清掃活動をしていたときのことだ。

清掃活動なんて面倒だから、適当に切り上げようとゴミ袋とトングを持ってうろうろしていた。真面目にやっているフリをしていたわけだ。


僕はこれでもかってくらいゴミが詰め込まれていたペットボトルを見つけた。

中身を取り出して分別をしなければならず、本当に面倒くさい。

見なかったことにしようかと思った瞬間、僕はその子に気がついた。


鉛筆や紙切れの中に親指よりも小さな女の子が眠っている。

身体が上下し、呼吸をしているのが分かる。


僕は思わずペットボトルをカバンにしまった。

誰かに見られたら殺されてしまうかもしれない。


こんな小さい子を放っておくことなんてできない。

そのまま誰にも言わずに家に連れ帰った。


帰宅してから、ペットボトルを切って中身を取り出した。

ボロボロになった布切れと鉛筆、紙切れが入っていた。

ゴミにしか見えなかったが、この子の所持品らしい。


中身を皿の上に出して、しばらく様子を見ていた。

小さな女の子は妖精さんと呼ぶことにした。


彼女は目を覚ますと、僕の顔を見て叫び声をあげた。


小さな女の子は、僕の顔を見て必死に何か言っていたが、何も分からない。

彼女の言語は日本語でも英語でもない。未知の言語だ。


僕は彼女を観察することにした。

もしかしたら、彼女を捨てた人が現れるかもしれない。

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