第5話 恐怖
皆と駅で解散をした後、一人で電車に乗って帰っていると夕方時だったためか、人が多かった。電車に揺られていると私は違和感を覚えた。お尻の方に何か当たっていることに気づいた。最初は混んでいるため、誰かの荷物が当たっているのかと思ったがずっと当たっていた。そして次の瞬間、私のお尻を掴んできた。痴漢だと気づいた時には私は恐怖で声を上げることも動くことも抵抗も出来なかった。恐怖で体が硬直していると痴漢は私が抵抗できないことを知ってお尻を触っていた手を上の方へずらしていき服の上から胸を触ってきた。そしてブラジャーが邪魔だと思ったのか背中側に手を回してブラのホックを外してきた。私は恐怖で声も出ず涙が溢れそうになった時駅に到着し、目の前の扉が開いた。私は動けなかったが降りる乗客に押し出されるように外に出ることができた。止まった駅は自宅の最寄り駅では無かったが痴漢から逃げられるという希望から降りることにした。しかし、外られたブラのホックを直そうと女性用トイレに向かっている最中に後ろから誰かが付いてくる感覚があった。
私は恐怖から女性用トイレに行かずどこかのお店に逃げ込もうと改札を出て走った。しかし、運が悪いことに私が下りた駅の周辺には逃げ込めるような商業施設は無く寂れたシャッター街と街灯の少ない路地しかなかった。シャッター街を走りながら、奏君に助けを呼ぼうと思ったがさらに、運が悪くスマホの充電が切れてしまっていることに気づいた。後ろから誰か付いてきている感覚があり恐怖の中、走っていると人通りが多い道が見えてきた。これで助かると安堵した瞬間段差に躓きこけてしまった。とうとう後ろから追いかけてきた人に捕まり、人気のない路地裏に引きずり込まれてしまった。『助けて』と叫んだが通りの人に声が届くことは無かった。私は口にハンカチを入れられしゃべることができない状態にされ両手を排水管に縛られ、抵抗することができなかった。男は抵抗できない私の胸元のボタンを外していき胸を揉んできた。(気持ち悪ぃ、助けて奏君)恐怖から涙を流していると男はさらに興奮してきたのかワンピースをめくり下着をはぎ取り私を犯そうとしてきた。涙を流しながら目を瞑ったが男は一向に何もしてこなかった。恐怖を感じながらも目を開けると男は倒れていた。その後ろには1組の男女がいた。
女性の方が男性に対して
「俊平早く男性を縛り上げて警察に通報しなさい。あとこの子のこと見るんじゃないわよ、見たら殺すから。」
「分かった、そっちは任せた。」
男女はそう言って男性は男を縛り上げながら警察に通報をしようとしていた。私は大事になって奏君に知られて嫌われたくなかったので男性に
「すいません、警察に通報するのやめてもらっていいですか?大事にしたくないので」
と言って通報をするのをやめてもらった。女性は私の手を縛っていた布を解き持っていたハンカチで男に触られた場所を拭き乱れた服装を直してくれた。
私は助けてくれた方々に震える声でお礼を言った。
「た、助けてくださりありがとうございます。」
改めて助けてくださった方々を見ると男性の方は自分の学校のサッカー部のイケメンで有名な2年の林先輩だった。
「悲鳴が聞こえた気がしたから来てみたらぎりぎり間に合ってよかったよ、清水さん。」
林先輩がそういうと女性の方は
「あら俊平の知り合い?」
「いや、うちの学校で今年の新入生代表の挨拶をしてて奇麗な子ってことで有名なだけ。」
「じゃあ、俊平が彼女を守りなさい。いいでしょ?」
「分かったよ香。まぁ彼女には彼氏さんがいるから陰ながら見守ることにするよ。」
「とりあえず私が彼女の家まで送り届けるから駅まで付いてきなさい、俊平。」
そういうと香さんは私の手を引きながら、一緒に駅まで3人で行った。その後香さんが家まで一緒に付いてきてくれ、私が一人暮らしだと知ると朝まで一緒にいようかと心配してくれた。そこまでは迷惑をかけれないのでお断りし部屋に入った。スマホの充電をしてL〇NEを開くと今日のことを楽しそうに皆で話していた。皆に心配を掛けたくないため適当に会話をして疲れたと言ってL〇NEを閉じた。今日のことを忘れるために寝ようと電機を消すと先ほどのことを思い出してしまい眠ることが出来なかった。寝ようとするたびに思い出してしまい眠ることが出来ず、朝になってしまい体調を崩してしまった。グループに『体調を崩したので連休は遊ぶことが出来ません、すいません』と一言メッセージを残した。
今日は元々用事が入っている人が多いということで遊ぶことも無かったため大丈夫だったが、奏君から心配のメッセージが来た。
『凛、今一人だけど大丈夫?』
沙也加さんが
『体調を崩してるのに凛さんとイチャイチャしようとするなんて、斎藤さん(。・ˇдˇ・。)』
怒った顔文字と一緒にメッセージが来た。そのあと奏君と沙也加さんがやり取りを行われお見舞いに来る流れになったため
『今部屋が散らかっているので男性に見られると恥ずかしいので来ちゃ駄目です(^_^;』
と返信した。今は奏君でも会うのが怖かった。
『用事が終わったら私が行きますね。』
『ありがとうございます。沙也加さんやゆうかさんとかなら。風邪が移らないよう気をつけてください。住所は後でお伝えします。』
と返信して、沙也加さんとゆうかさんに個別で私の住所を教えた。
昼過ぎに沙也加さんたちが来てくださり身の回りのことをしてくださり、薬を飲んで休むことにした。夕方頃に沙也加さんとゆうかさんが
『そこまで酷くはなさそうで良かったです。』
というメッセージを送って帰っていった。
沙也加さんたちに会い少し安心できたため眠ることが出来た。気づけば朝になっていた。体調自体は良くなったので『だいぶ体調は良くなりました。』と送っておいた。
洗濯などを行い、お昼ごはんを買いに出かけようと外に出ようとするとあの日のことがフラッシュバックして外に出ることが出来なかった。そのことを香さんに話すとすぐに家まで来てくれ、私のことを抱きしめ慰めてくれた。私は泣きながら眠っていた。目が覚めると香さんとその横にお母さんがいた。どうやら香さんがお母さんに連絡してきてもらったみたいだ。私は
「このことは誰にも言わないで、お母さん。」
「分かったわ。でもつらくなった時は友達でいいから相談するのよ。」
と顔を歪ませながらも了承してくれた。香さんは『それでは失礼します。』と言って帰っていった。その代わりにお母さんが残ってくれた。
次の日、グループに『風邪がをぶり返したので休みます。』と言って休むことにした。そしてお母さんと一緒に女性の先生がいる精神科に行くことにした。
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