第3話 友達の彼女
奏君との初デートをした次の日、根戸君たちと遊ぶ日となった。昨日のデートの余韻で少し寝不足になったが二度寝で遅刻するのもよくないと思い、集合時間には少し早く着いてしまうが家を出ることにした。集合時間の30分弱前ということもあり流石にまだ誰も来ていなかったが時、誰か来た時に気づかなかったら嫌だったので改札前で待つことにした。すると背後からまたナンパが声を掛けてみた。
「ねぇそこのお姉さん今暇?」
「ひまじゃないでs」
と振り向きながら少し強めの口調で言おうとして私は気づいた。
奏君が声色を変えてナンパの真似をしていることに。
「もう、奏君ひどいです。また昨日みたいなしつこいナンパが来たのかと思いました。」
そう言って私は頬を膨らませた。私が拗ねてしまってはまずいと思ったのか奏君は
「すまんすまん、かわいい凛を見つけたからちょっとイタズラしたくなってな。昨日買った服来てくれたんだ、とても似合ってるよ。」
と謝罪をしてきた。そしてさりげなく私の服装を褒めてきた。不意に服装を褒められ、恥ずかしかった。
「あ、ありがとうございます。でも急にそんなこと言わないでください、恥ずかしいです。奏君も似合ってますよ。」
このような変なやり取りをしていると
「おはようございます、凛さん、斎藤さん」
「今日もお熱いですね、お二人さん」
沙也加さんとゆうかさんが来た。どうやら先ほどのやり取りは見られていたらしい。服装はイメージ通りで、沙也加さんはデニムとブラウス、ゆうかさんはショートパンツとTシャツだった。どちらも似合っていて可愛らしかった。
「とってもかわいかったよ凛」
と言いながら小林が凛に抱きついていた。
「おはようございます。」と私は暑苦しいのでゆうかさんを引き剥がしながら挨拶をした。そんなやり取りをしていると根戸君が初めて見る女子と改札から出てきた。多分彼女の紗羅さんなのだろう。
「みんなおはよう。こっちが俺の彼女の紗羅。」
「初めまして、五反田紗羅です。」
「初めまして、俺は斎藤奏だ。」
「初めまして、私は清水凛です。」
「初めまして、ウチは小林ゆうかだよ。」
「初めまして、私は秋元沙也加です。」
互いに軽い自己紹介を済ませると、五反田が
「雄二の言ってた通りだね~二人とも互いに好き好きオーラ出すぎてて胸焼けしそうだよ」
とからかってきた。その言葉を聞き、私は
「私ってそんなに分かりやすいですか?」
と顔を赤くしていた。根戸君が
「今ほどではないけど最初の頃から結構分かりやすかったぞ、どっかの鈍感男以外は分かってた位。」
そう言うとゆうかさんと沙也加さんも「うんうん」と頷いていた。それを聞いて私は更に赤くなっていた。駅で話していても少し暑くなってきたから早めの昼食としてファミレスに行くことにした。恥ずかしかったが私は根戸君と五反田さんの馴れ初めがとても気になった。
ファミレスに入り注文する料理を決めた後、私は勇気を振り絞って、
「根戸くんと五反田さんはどうして付き合ったのですか?」
と質問をした。(ふぅ、聞くことができました。私上出来です。)等とどうでも良いことを考えていると五反田さんが
「中学2年の時にあたしの方から告白したんだよ。この通り、雄二ってイケメンだったからね~そしたら雄二がオーケーして付き合い始めたって感じかな。」
「そうなんだよな。紗羅ってかわいいからとりあえず付き合ってみるかって感じで付き合い始めた。今は紗羅の家庭的で献身的に支えてくれる所に惚れてるかな。」
「あはは、ありがとう、雄二だってチャラそうだけどきちんと人のこと見てるし、とっても優しいからあたしも好きだよ。」
と二人で惚気話が始まった。何も食べていないのにお腹が膨れるような感覚になり、奏君も同じようなことを感じたのか、話を変えることにした。
「ドリンク取ってくるけどみんなは何がいる?」(
ゆうかさん、私、沙也加さん、五反田の順番に
「コーラ」、「オレンジ」、「カルピス」、「ジンジャーエール」
「了解、雄二注ぎに行くぞ。」
「オーケー。」
奏君たちが、ドリンクを注ぎに行っている時ゆうかさんが私に
「それで凛、昨日の斎藤とのデートはどうだった?」
と聞いてきた。
「私が待ち合わせ場所に早くに着いてしまいナンパされているところに奏君が颯爽と駆けつけてくれて格好良かったです。その後は今日着ていくための服を買うデートを行いました。」
「それでデートの時に買った服が今着ている服ってことか。」
「そうなんです奏君は、女性ものの服の知識が無い中調べながらも私に合いそうな服を一生懸命選んでくれてとても嬉しかったです。もうこの服しかないと思い買いました。」
「そのあとはデートにおすすめのメニューがあるとネットに書いてあった所でお昼ご飯を食べました。」
昨日のことを思い出すと顔が赤くなった。そのタイミング奏君たちが帰ってきた。皆、奏君のことをニヤニヤしながら見ていたが奏君は気づかないふりをしながら皆の分のジュースを配っていた。そしてジュースを飲んでいると、根戸君が
「に゛、に゛げ~」と叫んでいた。
「そういえば何故か知らんがここのドリンクバーにはセンブリ茶があったぞ。」
((((本当に何で!?))))とみんなが疑問に思ってると根戸君が、
「知ってたなら教えてくれよ!」と言っていたが奏君は、
「雄二が『ドリンクバー全種類混ぜて飲まなきゃ死ぬ病気なんだよ』って言うからまだ死んでほしくなかったから言えなかったんだよ。」とふざけていると、五反田さんが
「本当、雄二はバカなんだから。私も半分飲んであげるから残さず飲みなさいよ。」
そう言って雄二からグラスを取り半分飲んだ。内心皆、(ツンデレか)と思っていると沙也加さんが「ツンデレ」と小声で言うと五反田さんが「ち、違う」と顔を赤くして反論した。五反田さんの思わぬ一面が見えたりしているうちに注文していた料理が届いたので会話を程々で食べることにした。皆ご飯を食べ終わったので会計を済ませてボーリングに行くことにした。
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