オセロ

 部室の棚を整理してたら何故かオセロが出てきた。不思議に思いながらも一式ちゃんと揃っているのかと確認してしてみたら、しっかりと石が六十四枚あった。オセロ盤もたいして傷もなくとても綺麗だ。卒業生の忘れ物だろうか。先輩に「オセロがありました」と見せてみると、暇だからとオセロをすることになった。

 しばらくやっていると、分かったことがある。先輩が強すぎるってこと。私が四角を取ってみても勝てないのだ。ここまで来ると私がオセロが下手すぎるような気がしてきた。

「なんでそんなに強いんですか?」と聞くと、「お前がたくさん取りやすい位置に置いてくれるから」と笑う先輩。何が面白いんだ。真面目にやってるんだよ私も。こうなったら勝って私がオセロ下手な人間じゃないって証明してやりたい。

「次こそは絶対、勝ちますからね!」

「そのセリフ何回目?」

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