第119話 永遠に忘れていたい雨の日

しめやかに降る雨の雫たちが


いつの間にか


心の中にも入り込んでくる



雫たちは


そっと


記憶の糸にまで染みていき


細い細い記憶の糸のその先の


あの日を


連れてくる





雨だったあの日


あの雨の音を


あの雨の冷たさを


今は


痛みよりも強く思い出す




どれくらい


あと


どれくらい時が経てば


記憶の糸は切れるのだろう




あたしは


ひょっとしたら


朽ち果てるまで


このまま


この糸を


離せないのだろうか








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