第107話 あたしの月だった、ひと

春を迎えた雪融けのように

あたしを消し流して


あなたの中から



あたしの痕跡を

ひとつ残らず消してしまって


あなたの中から



もう

あたしの許に来ない人に

哀れみのように

思い出してなど欲しくはない


誰も悪くはないはずなのに

いつまでも

いつまでも

悲しいままだから


だから、お願い

あたしを消して

あなたの中から


そして、さよなら

あたしの月


さよなら

大好きだったひと




さよなら

あたしの月だった、ひと





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