第61話 言の葉たちをそっと置いて

はじめは

誰かの目に触れることなど

考えていなかった


そうして並んでいったはずの

あたしの言の葉たち


なのに

目にしてもらえる嬉しさを知って

いつの間にか

あたしは贅沢者になっている


それでも

創ったものは書けなくて

美しい言葉とも無縁で


未だにあたしは

ただ、

降ってきた言の葉たちを並べている

できるのは

この子たちを

整えてあげることだけ



嬉しさは

知らず悲しさも連れてくるけれど


もしも


いつか、また

貴方に届けられるようなものが

降ってきたならば

その言の葉たちを

花束にして置きにいくから

そっと

置いておくから



受け取ってもらえたなら


貴方の目に触れてもらえたなら







嬉しいだろうな







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