第50話 『月』

貴方は『月』だったんですね

あたしにとって


夜空の

遥か高い所で輝く月を見ていて

わかったのです



手が届くかも、なんて

どうして思ったのでしょう



姿を変えながら

時々雲に隠れながら

でも

その光は優し気に白くて

ずっと

見つめ続けていたかったけれど



少しでも近しく在れるかも、なんて

どうして思ったのでしょう



『月』は遠くからそっと

愛でるもの


太陽のように

ぬくもりを与えられる訳ではなくて



貴方は『月』だったんですね

あたしにとっては


いつまでも

そのままで

輝いていてくださいね


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