第30話 珈琲

眠れない夜


珈琲を淹れて

ゆっくりと飲んでいると


ほろ苦さが

じわりと

あたしの中に染み込んで


記憶の波が

昔の恋人を連れてくる


そのキスが

とても苦い思い出になった人

感傷に浸るほど

もう切なさは残っていないけれど


今となっては

その恋そのものよりも

昔の自分の幼さが悔やまれて



少しだけ

珈琲の苦味が増したような

そんな気がした







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