第16話 時の粒がこぼれていく

「どんな人にも

 時の流れだけは平等だよね」


あの時

あなたが言った言葉は

間違ってはいなくて

その通りだと思うのだけれど


あなたが隣にいた

あの時の1分と

あなたを失った

今の1分は

あたしにとっては

あまりにも違いすぎて


この重く長い時の流れの中で

過ごしていくのは

辛くて悲しすぎて



さらさらと

あたしの手から

時の粒がこぼれていくのです


まるで砂のように

まるで雫のように


掴まえようとしても

掴まえられない

時の粒たち


あの時

あなたの隣で

この粒を掴まえて

時を止められたなら

良かったのに






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