第37話 アニマ


僕は、深海に住む深海魚だよ


からだの色はグレー


体型はね、あまりスマートとは言えないかも


名まえ?


ないよ、誰も付けてくれないから……


あー、そう言えば、前に誰かに


「君、不恰好だね」って言われたことが

あったっけ


「不恰好、……いいかも!決めた!名前これにする。どぉ?クールだと思わない?」


海の底は、とてもいいよ


のんびり、ゆったり暮らしてるんだ




ある時、こ~んな深い海なのに


人間に会ったんだ


そしたら、僕の事ジッーと見るんだよ


まるで、子供が珍しいおもちゃに出会った時みたいな顔をしてネ


それから僕は、人間が怖くなって


洞穴を見つけて暮らすようになったんだ


けれど、それから不思議な事が起きたの


朝めが覚めたら、


昨日までなかったヒレが付いてたんだ


次の日には、小さかった尾ひれが


物凄く大きくなってて


でも、それだけじゃない


大好きだったグレーのからだの色が


日ごとに変わっていって


今では、あの有名なにじ色のサカナみたいに

なっちゃったからね。


一体どーして、こんな事になったの?


誰か助けて~


泣いてたら、お友だちの赤いサカナが


教えてくれたんだ


「それはね、人間の『アニマ』よ

あなたを見た人間が

珍しいあなたに興味をもってしまい

手に入れたくなって、

地上に出てからあなたに対する妄想が

どんどん膨らんで

頭の中に理想のイメージを作ってしまったか

らよ」


元にもどれる?


「ええ、人間があなたに対するイメージを消

してしまえばね」


人間なんて、大キライだ!


今の僕は、ぼくじゃない


まったくの別ものだ


こんなの僕とは認めない



勝手にイメージなんて作らないで欲しいよ


こんな体なんかちっとも嬉しくないから






もう、心も体も重くて、


息をするのも苦しいんだ







自由に泳げなくなちゃったよ゜゜(´O`)°゜






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