かつての祈りはいつかの君へ～狂王と呼ばれた少女～

白野　大兎（しらのやまと）

プロローグ

　始祖、女神グラシアールよりこの大陸フェーリーンは創造された。女神の血族である英雄王カルマを曽祖父に持つ始まりの王カノープス。彼から十二の王を重ね、王国史上、初の女王が誕生する。セピア暦一〇一二年のことである。

　そしてこれらは私の生前に起き、母亡き後に友人から聞いた話を記したものだ。

　彼は自分の記憶を子細に語ってくれた。幼い頃の私がせがめば繰り返し、繰り返し。

ここからは歴史上の王ではなく、愛すべき我が母シリウス女王と、敬愛すべき七人の卿により築き上げたその軌跡を記していく。

　　ノヴァ・コスタ・ベルンシュタンイン著「グラン・シャル王国記」第一章より

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