ウソ知識の泉

ソーラン主

　ソーラン節はご存じですね。

　言わずと知れた、運動会の出し物の定番です。

「ヤアァァ～～～～～～レンソーランソーラン……」から始まる印象的な歌詞、

「ハイ！　ハイ！」などの合いの手、

　そして何より、網を引いて漁をする力強い動作が、ソーラン節を定番たらしめている所以でしょう。

　この、網を引く動作。

　皆の心が一つになり、一糸乱れぬ動きをすると、見えない網が実際に出現することはあまり知られていません。

　この網に、見えない魚がかかることも、また同様。

　透明な魚は、出現してからしばらくは校庭でぴちぴちと跳ねています。たまに、気づかず蹴られます。かわいそうですね。

　曲が終わって数分もすると、網とともに何処かへ、すうっと消えていきます。

　見えない網にはごくまれに、巨大なヌシもかかります。

　ヌシもやはり見えませんが、他の魚のように、気づかれないまま終わりとは参りません。

　まず、網を引いている子どもたちが異変に気づきます。

　ヌシが暴れて網を引っ張るので、身体ごと引きずられる子さえ出てきます。

　大玉や横断幕よりも巨大であるヌシは、暴れ暴れて、ついには、周囲の観客やテントをも薙ぎ倒していきます。

「きゃー！　何事？！」

「突風か、竜巻か、キャトルミューティレーションだ！」

　楽しい運動会のはずが、大変な騒ぎです。

　騒乱、騒乱。

　こういうときのために、実は、簡単な対処法があります。

「テレレッテ、テッテッテン、テレレッテ、テッテッテン……」

　と、ソーラン節を止めて、某３分クッキングの曲を流すのです。

　この曲を聴いたヌシは、「美味しくいただかれる！」と思い、どぷん、とどこかに潜って、即座に消えてしまうのです。