第三曲 夜景

ビルの壁面に足をつけてみたかった

演出された崖を踏破したかった


窓から手を振るんだ

私に気づかない私に


ビル風に鳥がさらわれ

窮屈な道路にふんを落として


眼の眩む夜

街は静かに私の影を待ってる


走れ 走り走っても ガラスは私を追いかける

落ちて 投げた視線の中 夜景の色


光にさようなら




立つことさえできないのに走ろうとした

目的より先にポーズが決まってた


未来は何も言わない

私に気づかない私に



速い速いもう巡るが 

長い長い私の躊躇ためらいを

終わらないものに


飛べない私に翼をください

勇気だけじゃ浮けないほど

この体は重くなってしまった



走り 走り出せなくて いやに夜景が目についた

明日あすに 追いつかないように まぶたを閉じて 



走れ 走れ走ったら 影は私に追いすがる

落ちて 消した光のした ビル風を浴びて


夜景にまた明日あした

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