そして世界は壊れた

ある少年がある日、物語の渦中に巻き込まれる。

しかしその少年は何も出来ずに終わるかと思われたが...彼は不思議な力を持っていたのだ!

「これを使えばアイツらを倒せるかも」

だが彼が持つ力は一人しか使用できないという縛りがあった。

そんな中少年は出会った。

『彼』と。 この少年の名前は――




『彼』は目の前の状況に困惑していた。

今自分は、とても大きな建物の中にいる。

そこは何処かの研究施設らしく、所々から薬品の匂いがした。

しかし自分がこんな場所で目覚めた事よりも気にかかる事がある。

(......俺、さっきまで自分の部屋で寝てたよな?なんでこんな所で寝てるんだ?)

彼は、ベッドの上で目覚めるとすぐにここが何処だか調べる事にした。

すると突然、扉が開いて白衣を着た男が入ってきたのだ。

そして男の後ろからもう一人、今度はスーツを着こなした中年男性が部屋に入ってきたのである。

スーツ姿の男は彼と目が合うと少し微笑んで会釈をした。

(なんだあのおっさん......?てかここって病院なのか!?俺はいつ退院できるんだ!?)

突然の事に混乱しているとスーツ姿の男の隣にいる中年の女性が口を開いた。

「あら、目を覚ましたみたいね?」

「......はい!?」

その言葉を聞いて再び驚く。

この女は何を言っているのだろうか?まるで俺が今まで眠っていたかのような言い方をするではないか。

いや待てよ。

そういえば自分は確かに部屋で寝ていたはずだけどベッドの上にいなかったしここは病室ではないのかもしれない。

じゃあなんで俺はここに入院してるんだろう?

......駄目だ全然分からない。

もしかして夢でも見てるのか俺?

そんな事を考えていたからか女の言葉に一瞬固まってしまった後ようやく声を出すことができた。

「......あ~っと、とりあえず貴方は誰ですか?」

「私か?私は医者だよ。君は【     】と呼ばれていて、

 私が開発した兵器を使ってノイズを倒したんだよ」


(え?どゆこと?ていうかこの人何か言った!?しかも兵器とか言われたんだけど!?)

いきなり訳の分からないことを聞いたと思ったら爆弾発言してきたぞコイツ!

ていうか今聞き捨てならない単語が出たぞ!

「ちょっと待ってください。貴方今何て言いました!?」

少年 は頭を抱えていた。理由は簡単だ。

「俺どうなっちゃうんだよ......」

「そんなに悩む必要はないさ。君が使ったギアにはちゃんとリミッターが付いていて暴走しないようになってるんだから安心してくれたまえ!」

「それ聞いて安心したわ! というかそもそも何故ギアなんてものがあるんですか!」

そう。まずそれが一番気になっていた事だ。

それにさっき言ってた兵器という言葉も気になる。

一体どういう事なんだろうか。

「それはな、vitolateの開発に携わってきた私の叔父が開発途中で亡くなりそこで偶然発見した物なんだよ」

(なるほど、つまりこの人は研究者って事でいいんだな。

だが問題は何故俺をそんな物にしたのかという事だな。

まさかその『叔父さん』とやらに俺の体に何らかの実験をされたって事になるのか!?)

彼がそこまで考えるとある一つの可能性に行きつく。

そしてその可能性を考え始めた途端とてつもない不安に襲われた。

「あのっ、一つ質問いいですか」

「ん?何だい少年?」

「実は俺には、記憶がなくてですね。だから自分に関する情報が知りたいんです」「ほう、そうなのか?分かった!ならば早速君のデータを調べさせてもらうよ」

そう言うと彼はポケットからパソコンのようなものを取り出してキーボードを打ち始めパソコンのモニターに何かを写し出したりマウスを動かして確認したりしていた。しばらくした後パソコンのモニターを見るのを止めて口を開く。

「よし、これでいいだろう。今から君をデータ化するから少し目を閉じていてくれ」「了解です」

そうして少年は目を閉じる。

そして暫くすると自分の体が光っているような気がした。

(これがデータ化ってやつなのか?)

そう考えながら体の力を抜いていると突然意識が遠退いていき気が付くと眠りについてしまう。

「ふう、無事完了だね。それでは次に脳を調べることにしようかな?」

「......」

(どうやら本当に寝たフリで正解だったようだ。てか本当にこんなんでいいのか?なんか色々と不安なんだが......)

そう思っている彼をよそに白衣を着た男はまたパソコンを弄っていた。

その後数分たった後に少年が目を覚まし慌てて男の元へ駆け寄る。

「おい待て何してんだアンタァァァァァ!!??」

「うわっびっくりした。急にどうしたのかね?」

「どうしたじゃねぇよ馬鹿野郎ぉぉぉぉ!!」

こうして少年の記憶喪失生活が始まったのである。



あれから一週間経ったのだがこの研究所に連れてこられてからはや7日目になる。

その間に色々分かった事がある。

先ずここはf.i.sという組織の施設である事。

そして自分はそこの研究員達によって発見された時に保護されそれからずっとここで育てられてきたこと。

二つ目は自分がギア装者として適合する可能性があるらしいということである。

これはかなり驚きを隠せなかった。

何故なら自分は聖遺物というものを持っていないからだ。

いや正確には持っていたとしても起動すら出来ないのだ。

その為自分に適性があるのは本当なのだろうがどうやって起動するか分からない以上どうこう言えるような問題ではないのは分かっている。

そして最後にここがノイズが現れる場所だということだ。

ここは他の研究室とは少し離れたところにある為か今のところ出現したことが無いようだがいつかは出てくるかもしれないとの事だ。

(もし現れた時はどうすればいいんだろうか......?俺に出来るのだろうか?)

そう思っていると男がまた新たな装置を持ってきていたようで今度は何か注射器のような物を持ってきた。

しかも自分の左腕に向けている。

「なんだそれ......っておまっ!?」

「どうしたんだね?そんなに慌てちゃって?」

「それはお前がいきなり腕にぶっ刺してきたからだろ!」

そう言って彼の腕を指差しながら叫ぶ。

「ああ、なるほどそういうことだったのか。だが安心したまえ。その薬はまだ君にしか効かんからね。他の人間に使ったらどんな反応をするのか分からないだろう?」

そう言われてしまうと納得するしかないので大人しく言うことを聞くことにした。

しかし何故そのような薬を打とうとしたのかというと......

2日前に遡る。

4日前『とりあえずここまでにしよう』と言って検査が終わったあと俺はそのまま寝ようとした時であった。

突然扉が開き白衣を来たおっさんが入って来てこんなことを言ったのだ。

『そういえば君が持っているソレは何だい?』

俺は不思議に思いつつもポケットに入れてあったペンダントを出すそうするとそれをみた彼は驚愕したような顔をしていた。

『それってまさか!聖遺物の欠片じゃないか!?どこで拾ったんだね?それに君以外に所持者が居たなんて初耳だよ!!』

俺は思わず首を傾げてしまった。

そもそもそんなものがあることすら知らなかったのだから当然ではあるが......

4日後『まぁとにかくその聖遺物の破片を使ってvitolateを作りあげようではないか!』

そう言いながら彼が取り出した物は俺が持っているペンダントと同じような形をしたものだった。

ただ色が黒色だった事を除いて。

5日後『よし完成したぞ!!』

そう言われ鏡を見ると確かにそこには以前とは違うギアを纏っている自分の姿が写っていたのだ。

6日後『ふむ......どうやらまだ出力が足りないようだな......そうだ、今日はもう1つの方も作ってみようじゃないか!!』

そう言い始めた瞬間俺の意識は途切れてしまった。

8日目『うーんなかなか上手くいかないなぁ.........仕方ない、また明日にするか...』

そう思い部屋に戻ろうとしたところであった

『あのぉ~少しいいですかぁ~?』

そこにいるのは何処か眠たげな目をした女性がこちらを見ていたのである。

それが響ちゃんだったのである。ちなみにこの人が了子さんである。


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