完全無欠な超越者
その日、一人の男が死んだ。 それは、現代日本において魔法が発見されたからでもなければ、人類に超能力の類いが現れたからでもなく、ただ運が悪かっただけのことだ。 男は生まれながらにして不治の病を患っており、余命はあとわずかだと医者からも言われていた。だが彼はそれを乗り越えるべくありとあらゆる治療法を模索していたのである。 そしてついに見つけたのだ、『新技術・概念実証実験』という技術を!この技術はその名の通り、人体へ新たな理論に基づく施術を行うことでその 身体機能を劇的に向上させることが出来ると言う画期的なモノだった。この技術を使えば助かる可能性があると考えた男は即座に実行した。 しかしその試みも虚しく、男の病は急速に進行していった。もはや一刻の猶予もないと悟った男はある決断をする――すなわち、 「もう時間がないなら、別の世界でやり直せばいいじゃないか」......という、現実逃避にも近い考えである。しかし男にはもうそれ以外方法がないと考えていたので躊躇なく行動に移った。 かくして、男の姿はその場から消えた。まるで神隠しにあったかのように。 以降、彼がどうなったのか知る者は誰もいない。彼の死と共に世に普及された新技術によって世界は大いに混乱し、その波紋はすぐに収束していった。 この出来事を受け、国連を始めとした各国首脳達は、男の研究データを元にさらなる医療や科学の発展を目指すとともに、このような事態に陥った原因究明のため、世界規模の調査チームを作ることにした。そして、後に彼らはこう呼ばれることになる。 「nevrong(ニューロン).」と............
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