旅の吟遊詩人はエレキギターを掻き鳴らす。

デラシネ

プロローグ

宇宙の炎、風と太陽、子供たち

100億年ほど、兎に角、気の遠くなる程の昔、なんて言葉じゃ済まされない程の大昔。


宇宙のとある惑星系で、とある星が滅んだ。


文字通り、すべての生命は根絶し、資源も文化も大地も、すべてが焼き尽くされた。


神々の怒りとも、オーバーテクノロジーが齎した1つの結果とも、どうとでも想像すれば良いだろう。


どうせ、僕たちの知能と信仰では到底及びもつかないことが起きたのだ。




また気が遠くなるほどの時間が流れると、今度はとある惑星で、生命が芽吹き始めた。


その星は、滅びた星よりも遥かに資源に恵まれた。


何より重要なことは、その星が持つ素粒子には、今までどの宇宙にも存在しなかった「魔素」が含まれていた。


滅びた惑星の2倍ほどもある重力と相俟って、生命は強靭に、逞しく進化し、育っていった。



またもや膨大な時間が流れる。いや、宇宙が存在している時間に比べたら、瞬きほどの時間かもしれない。


いつしか生命は、理性を持ち、知性を得て、文明を築いた。




テクノロジーが大きな転換を迎えようとしているその時、どこからともなく1人の男が現れる。



彼は、この魔法と科学が共存した世界で、エレキギターを掻き鳴らす。

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