第50話 バロン帝国との闘い、その2


 ライザーが魔法剣を使うソンダイと戦い始めて最初はお互い剣で戦ったが、人化したライザーの力は凄まじく剣を受けとめたソンダイが吹き飛ばされた。


 しかしソンダイが真っ黒な墨で剣を覆い戦い始めるとライザーと互角に戦い始めてソンダイの魔剣から黒い霧が吹きだしてライザーを包むと、ライザーの身体が痺れて動けなくなったのだ。


 ソンダイがライザーの首を落とそうと魔剣を振り上げた時にライザーが渾身の力を振り絞ってブレスを放ったのです。


 まさか人化した姿でブレスを吐けると思っていなかったソンダイは魔剣を振り上げたままの形で炭化したのだ。


 そこにスブスを闇の檻に閉じ込めたサリーが応援に来てソンダイが再生する前に闇の檻に閉じ込めたのです。


 同じ闇魔法でも魔族の魔力量はソンダイたちの何倍もあり、闇魔法の威力も力も強く闇の檻から出る事は出来ないのだ。





 トムと邪心王バンダイの戦いは戦いにならずに呆気なくトムがバンダイを聖の檻に閉じこめたのだ。


 何故かと言うと戦いが始まる前にトムがバンダイのスキルを移し獲り、無力にしたからなのです。


 聖の檻にとじ込めた、バンダイ、カバラ、ガルシ、闇の檻に閉じ込めたスブス、ソンダイを連れて戦場に戻ると、アドロ魔人国王と魔人族が帝国軍を圧倒的な力で半分以上を倒していた。

 

 獣人族も前回と違い戦う準備をしていたので、前回のお返しとばかりにワイバーン部隊のいない帝国軍を倒し、魔族と獣人族のけた外れの強さに帝国軍は逃げ帰っていたのです。





 トムたちが5人を檻に閉じ込めて帰るとアドロ魔人国王とザガード獣人国王が檻に閉じ込められているバンダイ達を見てアドロ国王が。


「ほう、檻に閉じ込めて連れて来たとは、此れから霊界に送るのか?」


「はい、その前に皆の前で懺悔させようと思いました」


ザガード国王が苦虫を潰した嫌な表情で。


「こいつらが戦いを起こした張本人か。懺悔などしないだろう」


 トムが自信ありげに。


「自分から懺悔するようにしますから、では今から此の5人に懺悔させてから殺して霊界に送ります」


 トムが死霊王の力を使い黒い霧で5人を覆うと5人は、今までして来た悪事、殺した何百人の映像と殺されるときの恐怖、苦しみが5人に襲い掛かったのだ。


 5人はその恐怖と苦しみを味わい。


「許してくれー! 悪かったー! 許してくれー! もう二度と悪い事はしないから許してくれー! ワァァー ・・・・・・・・・・」


 5人は今まで他人に与えた苦しみ恐怖に慄き許しを求めて絶叫を繰り返したのだ。


 トムが黒い霧を払い。


「何か言い残す事はあるか?」


 ソンダイたち4人は泣いて同じ事を言って。


「生んでくれた両親に悪かったと伝えて下さい」


 バンダイは。


「わしは、禁止されている闇魔法に手を出して愛する妻と2人の子供を処刑されて復讐の為に罪のない人たちを殺してしまい、妻と子供に許しを請いたい」


 トムは5人の最後の言葉を聞き終わると。


「分かった! 霊界で両親や妻子に会うだろうが、その時に今の気持ちを伝えて許しを請いなさい。では今から霊界に送るが安らかに・・・・」


 トムが5人の胸にあるバンダイが闇魔法で作った再生させる核を聖剣で突き刺して壊すと、5人は聖の光に包まれて消えたのです。


 見ていた全員は、この光景を見て何を思ったのでしょうか?


 全ての生き物は多少にかかわらず、悪い心と良い心を持って生きているのではないでしょうか?




 こうして帝国軍を追い払ったトムたちは、バロン帝国をどうするか相談するためにフォーク国のキョウト街に各国の王を招いて協議する事になったのです。



 フォーク国にトムたちが帰ると魔族を魔国に帰したアドロ国王がフォーク国を見たいと言ってついて来たのです。


 フォーク国に着きキョウト街を見たアドロ国王が。


「良い街だ、魔力量も他の国に比べれば多いので私も住めそうだな」


 サリーが。


「お父様、フォーク国に住むのは絶対に駄目です」


「ん?・・・・何故だ! ・・・・・・」


「だって・・・・・・トム様を連れ出して遊ぶつもりでしょう」


「ハッハハ! 見破られたか、しかたない別荘を建てて時々来るとしよう」


 どっかの国王夫妻と同じ事を言いローランが。


「フォーク国に来た皆が同じ事を言って別荘を建てるのね。まぁ~、気持ちは分かるけれど」


 皆も頷いて納得していたのでした。


 1週間後に、フォーク国、ライガー王国、魔国、ドワーフ国、獣人国の国王にエルフ族の代表が集まりバロン帝国をどうするか話し合いが始まるとドワーフ国のギオス国王と獣人国のザガード国王が強硬意見で。


「帝国は許せん、潰すべきだ」


 アイオイ国王が。


「まずは、帝国に降伏の使者を送って様子を見てはどうだろう」


アドロ国王が慎重に。


「私は帝国の王族と国民を離して考えるべきだと思うが、罪は今の皇帝にあるが悪政に苦しむ国民は助けるべきだと考えておるが」


 エルフ族の代表のササリン王女も。


「私もアドロ様と同じ考えです、私たちの住民と同じ苦しみを帝国の罪の無い国民に与えるのは反対です。トム様の考えをお聞かせくださいませんか」


 トムは、戦争は罪の無い人たちを苦しめるので戦争じたいに反対なので。


「そんなの決まっているよ。俺は戦争が大嫌いだ! 罪の無い人たちを巻き込んで苦しめて恨みを撒き散らすと又、復讐や仕返しの戦争が起きて何時までも争いが無くならないだろう」


 トムの激しい怒りの声に強硬派のギオス国王とザガード国王が謝り、ザガード国王が


「自分たちの怒りばかり考えた、わしたちの考えが浅はかでした。でも、使者を送っただけでは解決しないと思いますが」


 再度アイオイ国王が。


「確かに使者を送っても無駄かも知れんな。なんか帝国の国民に被害を与えない良い案はないのか」


 参考人として参加していたライザーが。


「簡単じゃ、争いごとを解決するのはやはり絶対的な力を見せなければ無理だろう。我の背中にトム様が乗って王族に国土を焼き払われるか降伏か選べと言ったら降伏するに決まっておるわ、降伏しない時は帝国の王城の半分でも焼き払えば降伏するだろうが」


 ライザーの簡単明快な言葉に皆が納得してアドロ国王が。


「アッハハー! ライザー殿は明快だ。此れで決まりだな」


 結局、トムとライザーがバロン帝国を降伏させる為に行く事になったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る