第37話 建国祭に向けて、その1
トムが帰ると言うとギオスが。
「折角きたのだから、ゆっくりして行ってくれ、今晩は綺麗な女を呼んで、一緒に飲もうぜ」
ジエルは周りが凍るような冷たい声で。
「何のために綺麗な女を集めるのですか、そんなの必要ありません。綺麗な女より豪華な食事の方が良いのでは・・・・・・」
ジエルの剣幕に驚いてギオスが。
「分かった! 女を呼ぶのは止めて豪華な食事を用意させる」
豪華な食事と言うからどんな料理が出て来るのかと期待したが、豪華と言うよりは豪快な料理で肉などは大きなぶつ切りと魔獣の丸焼きで、ドワーフ族は、此れを肴に酒を飲むらしい。
食事の途中にギバラが。
「フォーク国にはトム様が作った水みたいに透き通った酒があるが。見た目は水みたいだが、香りと言い今まで飲んだ酒の中で1番美味かったぞ」
「そんな酒があるのか? 飲んでみたいな。トム様、宝石と金は入りませんから、その透き通った酒を定期的に分けてくれませんか」
ギオスの言葉を聞いたミンクが(しまった、酒か、酒を交渉材料に使えば良かった)と思ったのです。
トムも宝石と金よりも酒が良いというギオスに呆れたが。
「分かった、宝石と金の代わりにその酒を定期的に渡そう。但しあの酒は造るのに1年以上かかるから沢山は無理だが良いか」
「そんなに貴重な酒なのか、トム様お願いだ、帰る時、俺を一緒に連れて行ってその酒を飲ましてくれないか」
ドワーフの酒に対する執着心に呆れたが今後の事もあるので、トムは移転室を作りギオスがフォーク国とドワーフ国を行き来出来るようしたのです。
鉱石に詳しい鍛冶師を集めるのに時間が掛かり、トムたちがギオスと鍛冶師を連れてフォーク国に帰ったのは1週間後だった。
フォーク国に帰ると何故か出迎えたナナリーナの横にローラン王女がいたのだ。
城の中に入るとナナリーナがローラン王女を友達のように呼び捨てで。
「ローランは当分こちらに滞在して国作を手伝うので私の隣の部屋に住まわせる事に致しました」
「えっ? 両親は許したのか?」
「はい、許してトム様を手伝うように言われました。此れから宜しくお願い致します」
まさかローラン王女が国作りを手伝うとは思っていなかったので驚いたが、アイオイ国王夫妻が許したのでトムは王城に住む事を許したのです。
トムが帰った1週間後にロックが船の航海を無事に終わらせてロラタ王都からの移住者を運んで来た、移住者は結局2万人くらいになったのです
移住者はナナリーナが建てた前世の10階建ての綺麗な前世のマンションのようなビルに住まわせたが、ローラン王女が移住者たちの面倒を見て助かったのだ。
ナナリーナやジエルたちが忙しそうに働いているのでトムも手伝おうとしたがナナリーナに。
「トム様は国王なのですから、執務室で大事な書類を読んで決裁をお願いします」
と言われて執務室に閉じ込められたのだ。
トムは書類を読んで無駄な物は許可せず決裁をしていたが、財務や経済に詳しい人材が欲しくなり、探す事にしたのです。
次の日にダビデ街のギルドマスターのボルドがダビデ街とキョウト街を運行する定期船に乗って来てキョウト街にギルドを開設する許可を貰に来たので許可して、トムが財務や経済に詳しい人材の募集を出したいと言うとボルドが。
「王都からの移住者の中に財務部に勤めていた私の友人の次官がいたはずですが、会ってみたらどうですか」
「そうなのか、是非あってみたいが・・・・」
「私が探して連れてきます」
2時間後にボルドが友人を連れて来たが連れて来た男はガリガリに瘦細った生気のない顔をしていたのだ。
トムは仕事を任せるのが不安になり断ろうと思ったのだ。
その時にナナリーナが図面を持って部屋に来て痩細った男を見て。
「あれ? リーおじさんじゃない?どうして此処にいるのですか」
リーおじさんと呼ばれた男が。
「えっ?ナナちゃん?」
「そうよ、孤児院にいたナナリーナよ」
2人は知り合いでリーおじさんと呼ばれた男は孤児院に時々来お菓子などを差し入れに来ていたのだ。
ボルドが。
「こいつは、あの死霊が王都を襲った時に奥さんと娘を亡くしてから生きる気力を無くして仕事も止めてしまい、王都にいると奥さんと子供を思い出すので移住してきたのです」
ナナリーナが怒って。
「リーおじさん! 男の癖にだらしない。そんなんじゃ奥さんと子供さんが、天国で泣いているわよ、私も園長先生や友達が亡くなって悲しくて寂しかったのに・・・・でも頑張って生きているのよ」
ボルドが。
「ナナリーナさんは、この街を一から作った功労者で、この街を設計し建物を建てたのもナナリーナさんが全部したのだよ、その他にも今は塩田の街と鉱山の街を作っている最中でまだ若いが今ではフォーク国の中心人物だ」
ボルドの話を聞いた男がトムに。
「私が間違っていました。ナナちゃんに会って目が覚めました。こんなんではあの世に行ったら奥さんと子供に怒られますので、死に物狂いで働きますので、私を雇って下さい、お願いします」
彼の名はリーガン・ソルトと言い領地を持たない子爵だった。
トムは試しに採用したがその後の彼の働きは目覚ましく、経済と大蔵大臣を兼務してフォーク国の経済の基盤を築いて経済の神様と言われたのです。
彼は亡くなった奧さんを愛していたので多くの女性から求婚されたが、その後の一生は独身を貫いたのだ。
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