第27話 国作り、その6


 その後も噂を聞いた移住者は増え続け、街が狭くなったので増やす為に今までのように簡単に調べるにでは無く徹底的に深淵の森の中を調べる事にした。


同行者はジエル、ナナリーナ、ドガ、バースだ。


 最初は西側の海のある方に空からバースが千里眼で見て魔獣などがいないか警戒して、ドガが先頭で警戒しながら森の中を進んだのです。


 途中に熊、猪、などB級からA級魔獣が出て来たがジエルが出るまでも無くS級魔物のオーガキング、ドガが簡単に倒してドガが戦うと所を始めて見たナナリーナが。


「ドガは強いのねー、流石にS級だわ、船酔いで青い顔をしていた時とは別人ね」


「だからあの時の事は言うなよ、もうー」


 2人のやり取りに笑いながら進み1時間ほどしてナナリーナが。


「うーん、この辺迄は街を広げる事が出来るわね。崖の反対側の谷は土魔法で埋めるか、残して観光地にする事にして橋を架けるか悩むわ」


「えっ! あの谷を観光地するのか?」


「うん、だってあのグランドキャニオンみたいな景観を埋めるはもったいないでしょう。フォーク国を50万人くらいの人口にするには首都キョウトの人口を30万人にする必要があるわ。だから人の集まる観光地やテーマパークみたいのもいるし・・・・・・・・」


「ええー! 30万だとー・・・・・・」


 トムが驚いたのもあたり前だ。此の世界の1番大きな都市、ロラタ王都でも人口20万人位で前世の地方都市並みなのだから。


「目標は高く持たないと、それでないと30万が目標だと20万は通過点だからロラタ王都くらいの都市は出来るでしょう」


「分かった、ナナリーナの思う通りにしてくれ」


 ナナリーナの頭の中には国の図面が出来上がっているみたいなのでトムは任せてサポートすることにしたのだ。


 深淵の森は、やはり魔獣が多く倒しながら進むので時間が掛かったが、その代わり魔石は沢山溜まった。


 森の中でトムが慣れて来た創造の魔法で魔獣に襲われないよう地下に洞窟を作りそこで1泊したのです。





  次の昼過ぎに潮の香がして目の前に大海原が見えて来て皆が歓声を上げて。


「海だー! 海だー! 」


初めて海を見たドガが。


「凄く大きな湖だ。こんな大きな湖は始めて見た」


此れには皆が笑いバースが。


「ドガは海を知らないのか? これは湖と違うよ。湖の何十倍もの広さで海と言うのだよ」


「海?・・・・この広い湖は海と言うのか?・・・・・・」


 トムたちはズボンを捲り膝まで海に浸かり久しぶり海に浸かっているとドガが海水を飲んで。


「うわぁー! 辛~い! ・・・・・・」


 バースが馬鹿にして。


「バーカ! 海水が辛いのは当たり前だろう」


 トムは2人の話を聞いて閃いた。

此の世界には、塩はあるが塩は岩塩で貴重で少し値段が高く海水から塩を取り出す方法を知らないのか海水から取った塩はなかったのだ。


 トムはナナリーナを呼んで。


「ナナリーナ、海水から塩を作ってみたらどうだろう

?」


「そうか! そうね。塩を特産品にすれば国にお金も入って来るし、よし! 私が塩田を作って塩を作るわ、任せて」


こうして塩を作る事になったのです。

その晩は砂浜で野営をして翌日に来た場所と違う所を調査しながら帰る事にしたのです。




 砂浜と森に境目に用意しておいた自分の魔力を込めた鉄の棒を立てて空間移転する時の座標を作り森の中を歩き始めたのだ。


 歩き始めて3時間後にバースが空から降りて来て。


「トム様、少し大きな河がありますが河に魔獣がいるみたいです」


 用心して進むと河にいた魔獣は5メータ位の鰐の魔獣で10匹いたがドガが斧でジエルが毒液で溶かして倒して魔石をトムに渡して。


「トム様、今回は魔獣から取った魔石も大分貯まりましたね」


「うん、思わぬ副収入が見込めるな、帰ったら久しぶりにギルドで魔石を売ろうか」


「ギルドの方が驚くと思いますよ、半年分の魔石は多いですからね」


 バースが殺した鰐を見て。


「トム様、この鰐は鎧鰐で武器を作る時の材料に使うので高く売れますよ」


「そうなのか、マジックバックに入れて持ち帰る事にするよ」


 今度はドガが。


「トム様、河の砂浜が黒いのですが・・・・」


 言われて砂を見て見ると、本当に砂の大部分が黒い砂で、持ってみると普通の砂より重かったので鑑定の目で見ると【砂鉄】だった。


空を飛んで河を見ると何処までも幅100メーラくらいの黒い砂浜で砂鉄の砂浜が続いていた。


 前世では日本刀は砂鉄で使ったのに名刀が多いと知っていたので、この砂鉄で剣を作ったら良い剣が出来るのではないかと思い。


 砂鉄で日本刀を作るイメージをして創造の魔法で作ってみると、出来た日本刀は渋く輝く前世の日本刀で、試しに30cmくらいの木を切ってみると何の抵抗もなく木は音も無く切れて、まるで豆腐を切っているみたいだった。


 余りの切れ味に驚いて作った刀を鑑定してみると。


【魔法の聖剣】

(魔力を流して使用すると100メータ先の敵も切れる)


 なんと、魔法聖剣で100メータ先の敵も切れると表示されて刀を作った本人のトムは信じられなかった。


 創造の魔法で刀に合う鞘を作って昔の侍のように腰に差して皆の所に戻ると腰の刀を見てナナリーナが。


「トム様、腰に差しているのは刀じゃない?どうしたの」


「砂鉄を使って創造の魔法で作ってみたけど俺にはもったいない刀が出来たよ」


 ジエルが。


「それって、もしかしたら魔法剣じゃない! 」


「ん?どうしてそう思うの?」


「その剣から魔力が漂っているからよ」


「ジエルは魔力が分かるのか?」


「うん、匂いで分かるわ」


  何故かトムの周りには凄い能力を持った仲間が集まっている気がしたトムなのだ。


 砂鉄の河の場所にも移転する目標の座標を打ち込んで置いて河を離れたのです 

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